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宅建業法 第2章

免許(種類・基準・更新・届出)

宅建業を営むには免許が必要です。この章では、免許の種類と申請先、有効期間と更新、免許を受けられない者(欠格事由)、事務所を移したときの免許換え、変更や廃業のときの届出をまとめます。欠格事由と届出は、似た数字が多く、ひっかけが出やすい分野です。

免許の種類と申請先

免許には、国土交通大臣の免許と都道府県知事の免許の2種類があります。どちらになるかは、事務所をどこに置くかだけで決まります(宅建業法3条1項)。

事務所の置き方免許権者
2つ以上の都道府県に事務所を置く国土交通大臣
1つの都道府県だけに事務所を置くその都道府県知事
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」3条1項・4条1項(2026年10月確認)

免許の種類によって、営業できる地域が変わるわけではありません。東京都知事の免許を受けた業者でも、大阪府にある物件を売買したり、北海道で広告をしたりできます。

申請書は、国土交通大臣の免許なら国土交通大臣に、知事の免許ならその事務所の所在地を管轄する知事に提出します(宅建業法4条1項)。

事務所とは

免許の区分の基準になる「事務所」は、次のものをいいます(宅建業法施行令1条の2)。

  • 本店または支店(商人以外の者は、主たる事務所または従たる事務所)
  • 継続的に業務を行うことができる施設があり、宅建業の契約を締結する権限のある使用人を置く場所

支店については、宅建業を営む支店だけが事務所にあたると解されています。たとえば、建設業と宅建業を兼ねる会社で、宅建業を営まない支店は事務所にあたりません。一方、本店は、支店で宅建業を営んでいれば、本店自体で宅建業を行っていなくても事務所として扱われます。この区別は免許権者の判断にも関わるため、よく問われます。

有効期間と更新

免許の有効期間は5年です(宅建業法3条2項)。引き続き営業する場合は更新を受けなければならず、更新の申請は有効期間満了の日の90日前から30日前までの間に行います(同法施行規則3条)。

更新の申請をしたのに、有効期間の満了日までに処分(更新するかどうかの判断)が出ない場合は、処分が出るまで従前の免許が効力を持ちます(宅建業法3条4項)。その後に更新された場合、新しい免許の有効期間は、従前の免許の満了日の翌日から5年です(同条5項)。処分を待った期間だけ得をする、ということにはなりません。

免許権者は、免許に条件を付けたり変更したりできます。ただし、条件は取引の公正を確保するために必要な最小限度のものに限られます(宅建業法3条の2)。

免許の基準(欠格事由)

免許権者は、申請者が次のどれかにあたる場合や、申請書に重要な事項の虚偽記載・記載漏れがある場合には、免許をしてはなりません(宅建業法5条1項)。

本人に関する主な欠格事由

  • 破産手続開始の決定を受けて、復権を得ていない者
  • 不正な手段で免許を受けた、業務停止処分の事由にあたり情状が特に重い、業務停止処分に違反した、のいずれかの理由で免許を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
  • 上の理由で免許を取り消された法人で、その取消しの聴聞の期日・場所の公示の日前60日以内に役員であった者で、取消しの日から5年を経過しないもの
  • 上の取消処分の聴聞の公示があった後、処分の前に解散や廃業の届出をした者(相当の理由がある者を除く)で、届出の日から5年を経過しないもの
  • 拘禁刑以上の刑に処せられ、刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 宅建業法違反、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反、または傷害・傷害現場助勢・暴行・凶器準備集合・脅迫・背任・暴力行為等処罰に関する法律の罪により罰金刑に処せられ、執行を終わるなどした日から5年を経過しない者
  • 暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 免許の申請前5年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者
  • 宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
  • 心身の故障により宅建業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの

関係者に関する欠格事由

  • 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が欠格事由にあたるもの
  • 法人で、役員または政令で定める使用人(事務所の代表者)が欠格事由にあたるもの
  • 個人で、政令で定める使用人が欠格事由にあたるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者
  • 事務所に、法律の定める数の専任の宅建士を置いていない者

ここでいう役員には、取締役などのほか、相談役・顧問など名称を問わず、取締役と同等以上の支配力を持つと認められる者も含まれます(宅建業法5条1項2号)。

刑罰に関する注意点

罰金刑で欠格になるのは、宅建業法違反などの特定の罪に限られます。たとえば、道路交通法違反や過失による事故で罰金刑を受けても、それだけでは欠格事由にあたりません。一方、拘禁刑以上の刑は、罪の種類を問わず欠格事由です。

執行猶予が付いた場合、猶予期間中は欠格事由にあたります。猶予期間が無事に満了すると、刑の言渡しは効力を失う(刑法27条)ため、その時点から5年を待たずに免許を受けられます。また、刑が確定する前(控訴中など)は、まだ「刑に処せられた」とはいえません。

免許換え

免許を受けた後、事務所の配置が変わって免許権者が変わる場合は、新しい免許権者から免許を受け直します。これを免許換えといいます(宅建業法7条1項)。

  • 国土交通大臣の免許を受けた者が、1つの都道府県にだけ事務所を持つことになったとき
  • 知事の免許を受けた者が、その都道府県の事務所を廃止して、他の1つの都道府県に事務所を設けることになったとき
  • 知事の免許を受けた者が、2つ以上の都道府県に事務所を持つことになったとき

新しい免許を受けると、従前の免許は効力を失います。新しい免許は新たな免許なので、有効期間は新しい免許の日から5年です。免許換えの申請中に従前の免許の有効期間が満了しても、処分が出るまでは従前の免許が効力を持ちます(宅建業法7条2項)。

免許換えをすべきなのに新しい免許を受けていないことが判明した場合は、免許を取り消されます(宅建業法66条1項5号)。

宅建業者名簿と変更の届出

国土交通省と都道府県には宅建業者名簿が備えられ、一般の閲覧に供されます(宅建業法8条・10条)。宅建業者は、次の事項に変更があったときは、30日以内に、免許を受けた国土交通大臣または知事に届け出なければなりません(宅建業法9条)。

  • 商号または名称
  • 法人の役員の氏名、政令で定める使用人の氏名
  • 個人の場合はその者の氏名、政令で定める使用人の氏名
  • 事務所の名称と所在地
  • 事務所ごとに置かれる専任の宅建士の氏名

役員の住所や、代表者以外の従業者の氏名などは、この届出の対象ではありません。また、免許証の記載事項に変更があったときは、変更の届出とあわせて免許証の書換え交付を申請します(同法施行規則4条の2)。

廃業等の届出

宅建業者に次のことが起きたときは、表の届出義務者が、その日から30日以内(死亡の場合は事実を知った日から30日以内)に、免許権者に届け出ます(宅建業法11条1項)。

事由届出義務者
個人業者の死亡相続人
法人が合併により消滅消滅した法人を代表する役員であった者
破産手続開始の決定破産管財人
合併・破産以外の理由による法人の解散清算人
宅建業の廃止個人業者本人、または法人を代表する役員
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」11条(2026年10月確認)

破産・解散・廃止の場合、免許はこの届出があったときに効力を失います(宅建業法11条2項)。合併による消滅では、届出をするのが「存続する会社」ではなく、「消滅した会社の代表役員であった者」である点がよく問われます。

数字・期間のまとめ

項目数字・期間根拠
免許の有効期間5年宅建業法3条2項
更新の申請期間有効期間満了の日の90日前から30日前まで同法施行規則3条
欠格期間(刑・取消しなど)5年宅建業法5条1項
取消し法人の役員として欠格になる範囲聴聞の公示の日前60日以内に役員であった者宅建業法5条1項2号
変更の届出変更から30日以内宅建業法9条
廃業等の届出その日から30日以内(死亡は知った日から)宅建業法11条1項
事業を開始しない・休止したときの取消し免許後1年以内に開始しない、または1年以上休止宅建業法66条1項6号
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」「宅地建物取引業法施行規則」(2026年10月確認)

試験で問われやすいポイント

  • 免許の区分は事務所の所在だけで決まり、営業できる地域は大臣免許でも知事免許でも変わらない
  • 更新後の有効期間は、処分の日ではなく、従前の免許の満了日の翌日から数える
  • 道路交通法違反などによる罰金刑は欠格事由にならない。拘禁刑以上なら罪の種類を問わない
  • 執行猶予期間が満了すれば、5年を待たずに免許を受けられる
  • 合併消滅の届出義務者は、消滅した法人の代表役員であった者
  • 役員の住所の変更は、変更の届出の対象ではない

まとめ

  • 2つ以上の都道府県に事務所があれば国土交通大臣、1つなら知事の免許を受ける
  • 有効期間は5年、更新は満了の90日前から30日前までに申請する
  • 欠格事由の期間は原則5年。罰金刑は特定の罪の場合だけ欠格になる
  • 変更の届出と廃業等の届出は、どちらも30日以内

宅建士の登録・宅建士証は宅地建物取引士の章で学びます。

この章の内容は、宅建業法の一問一答で確認できます。

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