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宅建業法 第7章

媒介契約

宅建業者が売主や買主から売買の仲介を頼まれたときに結ぶ契約が、媒介契約です。この章では、媒介契約の3つの種類と、それぞれに課される規制(有効期間、指定流通機構への登録、業務処理状況の報告)、媒介契約書面の記載事項を整理します。3種類の違いを表で比べて覚えるのが効率的です。

媒介契約の規制の対象

宅建業法34条の2の規制は、宅地・建物の「売買または交換」の媒介契約に適用されます。代理を依頼する契約にも準用されます(宅建業法34条の3)。一方、貸借の媒介・代理の契約には、この規制は適用されません。賃貸の仲介では、媒介契約書面の交付義務もありません。

また、宅建業者を依頼者とする媒介契約にも、この規制は適用されます。業者間の取引で適用が除外されるのは、後で学ぶ8種制限であり、媒介契約の規制は除外されない点に注意しましょう。

媒介契約の3つの種類

媒介契約は、依頼者が他の業者にも重ねて依頼できるかどうか、自分で見つけた相手と契約できるかどうかで、3つに分かれます。

  • 一般媒介契約:依頼者が、他の宅建業者にも重ねて媒介・代理を依頼できる契約。他に依頼した業者を明らかにする義務がある「明示型」と、ない「非明示型」がある
  • 専任媒介契約:依頼者が、他の宅建業者に重ねて依頼することを禁じる契約(宅建業法34条の2第3項)。依頼者が自分で見つけた相手(自己発見取引)とは契約できる
  • 専属専任媒介契約:専任媒介契約のうち、依頼者が、依頼した業者が探した相手以外の者と売買・交換の契約を締結できない旨の特約を含むもの。自己発見取引もできない

3種類の規制の比較

規制一般媒介専任媒介専属専任媒介
有効期間法律上の制限なし3か月以内3か月以内
指定流通機構への登録義務なし契約締結の日から7日以内(休業日を除く)契約締結の日から5日以内(休業日を除く)
業務処理状況の報告義務なし2週間に1回以上1週間に1回以上
申込みがあったときの報告遅滞なく遅滞なく遅滞なく
自己発見取引できるできるできない
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」34条の2、「宅地建物取引業法施行規則」15条の10(2026年10月確認)

有効期間と更新

専任媒介契約(専属専任を含む)の有効期間は3か月を超えることができません。3か月より長い期間を定めたときは、3か月とされます(宅建業法34条の2第3項)。契約全体が無効になるわけではありません。

有効期間は、依頼者の申出があれば更新できます。更新後の期間も3か月を超えることはできません(同条4項)。依頼者の申出が要件なので、「期間満了時に自動的に更新する」という特約は無効です(同条10項)。

指定流通機構への登録

専任媒介契約を締結した業者は、契約の相手方を探すため、物件の所在・規模・形質・売買すべき価額などを、国土交通大臣が指定する指定流通機構(いわゆるレインズ)に登録しなければなりません(宅建業法34条の2第5項)。期限は、専任媒介は契約締結の日から7日、専属専任媒介は5日で、休業日は算入しません(同法施行規則15条の10)。

登録する事項には、所在・規模・形質・売買すべき価額のほか、法令上の制限で主要なもの、取引の申込みの受付状況、専属専任媒介契約であればその旨などが含まれます(同法施行規則15条の11)。依頼者の氏名や住所は登録事項ではありません。

登録をした業者は、指定流通機構が発行する登録を証する書面を、遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません(宅建業法34条の2第6項)。依頼者の承諾を得れば、電磁的方法で提供することもできます(同条12項)。登録した物件の売買・交換の契約が成立したときは、登録番号・取引価格・契約成立の年月日を、遅滞なく指定流通機構に通知します(同条7項、同法施行規則15条の13)。

報告義務

媒介契約を締結した業者は、目的物について売買・交換の申込みがあったときは、遅滞なく依頼者に報告しなければなりません(宅建業法34条の2第8項)。これは一般媒介を含むすべての媒介契約に課される義務です。

専任媒介契約では、これに加えて、業務の処理状況を2週間に1回以上(専属専任は1週間に1回以上)報告しなければなりません(同条9項)。

依頼者に不利な特約の禁止

有効期間、指定流通機構への登録、登録を証する書面の引渡し、申込みの報告、業務処理状況の報告に関する規定に反する特約は無効です(宅建業法34条の2第10項)。たとえば、「業務処理状況の報告は1か月に1回とする」という特約は無効です。

媒介契約書面

交付の義務

宅建業者は、売買・交換の媒介契約を締結したときは、遅滞なく、法定の事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者に交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項)。記名押印するのは宅建業者であり、宅建士である必要はありません。35条書面・37条書面との違いとして、よく問われます。

電磁的方法による提供

2022年5月の改正で、依頼者の承諾を得れば、媒介契約書面の交付にかえて、記載事項を電磁的方法(電子メールやウェブサイトでの提供など)で提供できるようになりました(宅建業法34条の2第11項)。この場合、業者は書面に記名押印して交付したものとみなされます。承諾は、あらかじめ方法の種類と内容を示したうえで、書面や電子的な方法で得る必要があり、後で依頼者から電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、電磁的方法で提供してはなりません(同法施行令2条の6)。

記載事項

媒介契約書面には、次の事項を記載します(宅建業法34条の2第1項、同法施行規則15条の9)。

  • 宅地・建物を特定するために必要な表示(所在、地番、種類、構造など)
  • 売買すべき価額またはその評価額
  • 他の業者に重ねて依頼することの許否と、許す場合に他の業者を明示する義務の有無
  • 既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項
  • 媒介契約の有効期間と解除に関する事項
  • 指定流通機構への登録に関する事項
  • 報酬に関する事項
  • 専任媒介で依頼者が他の業者の媒介によって契約を成立させたときの措置、専属専任媒介で自己発見取引をしたときの措置、明示型の一般媒介で明示していない業者によって契約を成立させたときの措置
  • 国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものかどうかの別

指定流通機構への登録に関する事項は、登録義務のない一般媒介契約でも記載が必要です。

価額について意見を述べるとき

宅建業者が、売買すべき価額や評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければなりません(宅建業法34条の2第2項)。依頼者が希望する価格が相場とかけ離れているときに、業者の意見の裏付けを示させるための規定です。

建物状況調査のあっせん

既存の建物の売買の媒介では、建物状況調査(インスペクション)を実施する者のあっせんに関する事項を記載します。建物状況調査は、国土交通大臣が定める講習を修了した建築士が、建物の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分の状況を調べるものです(宅建業法34条の2第1項4号、同法施行規則15条の7・15条の8)。記載するのは「あっせんに関する事項」なので、あっせんをするかどうかを含めて記載します。

数字・期間のまとめ

項目数字・期間根拠
専任媒介の有効期間3か月以内(超えたら3か月)宅建業法34条の2第3項
更新後の有効期間3か月以内(依頼者の申出が必要)宅建業法34条の2第4項
指定流通機構への登録専任7日以内、専属専任5日以内(休業日を除く)同法施行規則15条の10
業務処理状況の報告専任2週間に1回以上、専属専任1週間に1回以上宅建業法34条の2第9項
成約時の指定流通機構への通知遅滞なく宅建業法34条の2第7項
出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」「宅地建物取引業法施行規則」(2026年10月確認)

試験で問われやすいポイント

  • 媒介契約の規制は、売買・交換の媒介と代理が対象で、貸借は対象外
  • 宅建業者が依頼者でも、媒介契約の規制は適用される
  • 3か月を超える期間を定めても契約は無効にならず、3か月に短縮される。自動更新特約は無効
  • 指定流通機構への登録期限は休業日を除いて数える
  • 申込みがあったときの報告は、一般媒介でも必要
  • 媒介契約書面に記名押印するのは宅建業者で、宅建士の記名は不要

まとめ

  • 媒介契約は一般・専任・専属専任の3種類で、専任と専属専任には期間・登録・報告の規制がある
  • 専任の有効期間は3か月以内で、更新は依頼者の申出が必要
  • 登録は専任7日・専属専任5日、報告は専任2週に1回・専属専任1週に1回以上
  • 媒介契約書面は業者が記名押印して交付し、依頼者の承諾があれば電磁的方法でも提供できる

この章の内容は、宅建業法の一問一答で確認できます。

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