法令上の制限 第5章
建築基準法(防火・建築確認・単体規定)
この章では、建築基準法の残りの重要論点として、防火地域・準防火地域の規制、建築確認の手続き、建物ごとの安全・衛生のルール(単体規定)、建築協定を学びます。建築確認は2025年4月1日施行の改正で対象が大きく変わりました。古い教材の「4号建築物」という区分で覚えないよう注意しましょう。
防火地域・準防火地域の規制
防火地域・準防火地域内の建築物は、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸などの防火設備を設け、壁・柱・床などを、地域と規模に応じた技術的基準に適合させなければなりません(建築基準法61条1項)。具体的な区分は政令で定められています(同法施行令136条の2)。
| 地域 | 建築物の規模 | 求められる性能(概要) |
|---|---|---|
| 防火地域 | 階数3以上(地階を含む)または延べ面積100平方メートル超 | 耐火建築物と同等以上 |
| 防火地域 | 上記以外(階数2以下かつ延べ面積100平方メートル以下) | 準耐火建築物と同等以上 |
| 準防火地域 | 地階を除く階数4以上または延べ面積1,500平方メートル超 | 耐火建築物と同等以上 |
| 準防火地域 | 地階を除く階数3で延べ面積1,500平方メートル以下、または地階を除く階数2以下で延べ面積500平方メートル超1,500平方メートル以下 | 準耐火建築物と同等以上 |
| 準防火地域 | 地階を除く階数2以下で延べ面積500平方メートル以下 | 木造建築物等は外壁・軒裏で延焼のおそれのある部分を防火上の基準に適合させ、開口部に防火設備を設ける。木造建築物等以外は、開口部に防火設備を設ける |
その他の防火のルール
- 屋根:防火地域・準防火地域内の建築物の屋根は、火の粉による火災の発生を防ぐ基準に適合させます(建築基準法62条)
- 隣地境界線に接する外壁:防火地域・準防火地域内で、外壁が耐火構造の建築物は、外壁を隣地境界線に接して設けることができます(同法63条)
- 看板など:防火地域内の看板・広告塔などで、建築物の屋上に設けるもの、または高さ3メートルを超えるものは、主要な部分を不燃材料で造るか覆います(同法64条)。準防火地域にはこのルールはありません
- 地域にまたがる建築物:建築物が防火地域と準防火地域にわたるときは、全体に防火地域の規定が適用されます。防火地域・準防火地域と指定のない区域にわたるときも、全体に厳しいほうの規定が適用されます。ただし、防火壁で区画されている場合は、防火壁の外側の部分は除かれます(同法65条)
防火地域・準防火地域以外の市街地でも、特定行政庁が指定する区域(いわゆる22条区域)では、屋根を火の粉による火災を防ぐ構造にしなければなりません(同法22条1項)。
建物の用途制限は「敷地の過半」で判断しましたが、防火地域の規制は「建築物」の位置で判断し、厳しいほうに合わせる点が異なります。
建築確認が必要な建築物(2025年4月以降)
建築主は、一定の建築物を建築するなどの場合、工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定に適合することについて、建築主事等または指定確認検査機関の確認を受け、確認済証の交付を受けなければなりません(建築基準法6条1項・6条の2第1項)。確認済証の交付を受けた後でなければ、工事はできません(同法6条8項)。
2025年4月1日施行の改正で、確認が必要な建築物の区分が次のように変わりました。従来の「木造で3階以上または延べ面積500平方メートル超」などの区分はなくなり、木造かどうかで区別しなくなりました。
| 区分 | 対象 | 確認が必要な工事 | 場所 |
|---|---|---|---|
| 1号 | 特殊建築物(共同住宅、店舗、ホテルなど)で、その用途の床面積が200平方メートル超 | 建築、大規模の修繕・模様替 | 全国 |
| 2号(新2号建築物) | 1号以外で、階数2以上または延べ面積200平方メートル超 | 建築、大規模の修繕・模様替 | 全国 |
| 3号(新3号建築物) | 1号・2号以外(平屋かつ延べ面積200平方メートル以下) | 建築のみ | 都市計画区域・準都市計画区域など(知事が指定する区域を含む) |
たとえば、Aが都市計画区域外で木造2階建ての住宅を新築する場合、改正前は確認が不要でしたが、現在は2号に当たるため確認が必要です。都市計画区域外で平屋・延べ面積150平方メートルの住宅を新築するなら、3号の区域外なので確認は不要です。
増築の場合は、増築後の規模で判断します(同法6条1項)。また、防火地域・準防火地域の外で、増築・改築・移転に係る部分の床面積が10平方メートル以内であれば、確認は不要です(同条2項)。防火地域・準防火地域内では、10平方メートル以内でも確認が必要です。
確認の審査では、建築士が設計した3号の建築物について、一部の規定の審査が省略されます(同法6条の4第1項3号)。2号の建築物は、建築士が設計したことを理由とするこの審査の省略を受けられません。木造2階建ての住宅も、構造などを含めて審査されます。
用途変更と仮設建築物
建築物の用途を変更して、床面積200平方メートル超の特殊建築物にする場合も、確認が必要です。ただし、ホテルから旅館への変更など、政令で指定する類似の用途相互間の変更は除かれます(建築基準法87条1項)。用途変更では、工事完了後に完了検査を申請する代わりに、建築主事等に工事が完了した旨を届け出ます(同項後段の読替え)。
工事現場に設ける事務所や材料置場などの仮設建築物は、建築確認などの規定が適用されません(同法85条2項)。
確認と検査の流れ
- 確認申請:建築主事等は、1号・2号の建築物は受理した日から35日以内、3号の建築物は7日以内に審査し、適合すれば確認済証を交付します(建築基準法6条4項)
- 中間検査:特定工程を含む工事は、その工程を終えた日から4日以内に検査を申請します(同法7条の3第1項・2項)
- 完了検査:工事が完了した日から4日以内に建築主事等に到達するよう申請し、受理した日から7日以内に検査が行われます。適合していれば検査済証が交付されます(同法7条)
1号・2号の建築物を新築する場合、原則として検査済証の交付を受けるまでは、建物を使用できません(同法7条の6第1項)。ただし、特定行政庁が安全上などの支障がないと認めたとき、建築主事等や指定確認検査機関が基準に適合すると認めたとき、完了検査の申請が受理された日から7日を経過したときは、使用できます(同項各号)。
単体規定
単体規定は、建物そのものの安全・衛生のためのルールで、都市計画区域の内外を問わず全国で適用されます。試験でよく出る数字を整理します。
- 大規模建築物の主要構造部:地階を除く階数4以上、高さ16メートル超などで、主要構造部に木材などの可燃材料を用いた建築物は、火災時の倒壊・延焼を防止する性能が求められます(建築基準法21条1項)
- 居室の採光:住宅の居住のための居室には、採光に有効な開口部を床面積の7分の1以上設けます。国土交通大臣の定める基準に従い照明設備を設けるなどの措置をとれば、10分の1まで緩和できます(同法28条1項、同法施行令19条3項)
- 居室の換気:換気に有効な開口部を床面積の20分の1以上設けます。基準に従った換気設備を設ければ不要です(同法28条2項)
- 石綿・シックハウス:石綿などを建築材料に添加・使用せず、居室のある建築物はホルムアルデヒドなどに関する基準を守ります(同法28条の2)
- 長屋・共同住宅の界壁:遮音性能の基準に適合させ、原則として小屋裏または天井裏に達するものとします(同法30条)
- 避雷設備:高さ20メートルを超える建築物に設けます(同法33条)
- 非常用の昇降機:高さ31メートルを超える建築物に設けます(同法34条2項)
- 居室の天井の高さ:2.1メートル以上。一室で高さが異なるときは平均の高さで測ります(同法施行令21条)
- 木造の最下階の居室の床:原則として直下の地面から45センチメートル以上(同法施行令22条1号)
- 屋上広場や2階以上のバルコニーの周囲:高さ1.1メートル以上の手すり壁・さく・金網を設けます(同法施行令126条1項)
地方公共団体は、津波・高潮・出水などの危険が著しい区域を、条例で災害危険区域に指定し、住居用の建築物の建築を禁止するなどの制限を定めることができます(同法39条)。
建築協定
建築協定は、住宅地の環境や商店街の利便を高度に維持増進するため、土地の所有者や借地権者が、建築物の敷地・用途・形態などについて自主的に結ぶ協定です。市町村が条例で定める区域内で締結できます(建築基準法69条)。
- 締結:土地の所有者等の全員の合意で建築協定書を作成し、特定行政庁の認可を受けます(同法70条1項・3項)
- 変更:全員の合意で定め、特定行政庁の認可を受けます(同法74条)
- 廃止:過半数の合意で定め、特定行政庁の認可を受けます(同法76条1項)
- 効力:認可の公告の日以後に協定区域内の土地の所有者等になった人にも及びます(同法75条)
- 一人協定:所有者が1人だけの土地でも協定を定めることができ、認可の日から3年以内に所有者等が2人以上になった時から、通常の建築協定と同じ効力を持ちます(同法76条の3)
数字・期間のまとめ
| 項目 | 数字・期間 | 条文 |
|---|---|---|
| 建築確認の対象(特殊建築物) | その用途の床面積200平方メートル超 | 建築基準法6条1項1号 |
| 建築確認の対象(新2号) | 階数2以上または延べ面積200平方メートル超 | 建築基準法6条1項2号 |
| 確認不要の小規模な増築等 | 防火・準防火地域外で10平方メートル以内 | 建築基準法6条2項 |
| 確認の審査期間 | 1号・2号は35日以内、3号は7日以内 | 建築基準法6条4項 |
| 完了検査の申請・実施 | 完了から4日以内に申請、受理から7日以内に検査 | 建築基準法7条 |
| 検査済証前の使用 | 申請受理から7日経過で使用可 | 建築基準法7条の6第1項3号 |
| 防火地域内の看板 | 屋上または高さ3メートル超は不燃材料 | 建築基準法64条 |
| 住宅の居室の採光 | 床面積の7分の1以上(措置により10分の1まで) | 建築基準法施行令19条3項 |
| 換気 | 床面積の20分の1以上 | 建築基準法28条2項 |
| 避雷設備/非常用昇降機 | 高さ20メートル超/31メートル超 | 建築基準法33条・34条2項 |
| 天井の高さ/床の高さ | 2.1メートル以上/45センチメートル以上 | 建築基準法施行令21条・22条 |
| 建築協定の締結・変更/廃止 | 全員の合意/過半数の合意 | 建築基準法70条・74条・76条 |
試験で問われやすいポイント
- 2025年4月以降、階数2以上または延べ面積200平方メートル超の建築物は、木造でも全国で建築確認が必要です。大規模の修繕・模様替も確認の対象です。
- 平屋かつ200平方メートル以下の建築物は、都市計画区域・準都市計画区域などの中で建築するときだけ確認が必要で、大規模の修繕・模様替には不要です。
- 10平方メートル以内の増築等が確認不要になるのは、防火地域・準防火地域の外だけです。
- 看板の不燃材料の規制は防火地域だけ。外壁を隣地境界線に接して設けられるのは、防火地域・準防火地域で外壁が耐火構造の場合です。
- 建築協定の廃止だけは過半数の合意で足ります。
まとめ
- 防火地域は階数3以上または100平方メートル超、準防火地域は地上4階以上または1,500平方メートル超で、耐火建築物と同等の性能が求められます。
- 建築確認は2025年4月から「特殊建築物200平方メートル超」「階数2以上または200平方メートル超」「それ以外(区域内のみ)」の3区分です。
- 確認35日・7日、完了検査の申請4日・検査7日など、期間をセットで覚えます。
- 単体規定は全国で適用され、採光7分の1、換気20分の1、天井2.1メートルなどの数字が問われます。
用途制限や道路は建築基準法(用途制限・道路)、建蔽率・容積率は建築基準法(建蔽率・容積率・高さ制限)の章で確認できます。
この章の内容は、法令上の制限の一問一答で確認できます。