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法令上の制限 第2章

都市計画法(開発許可)

この章では、都市計画法の「開発許可」を学びます。開発許可は、無秩序な宅地開発を防ぎ、道路や排水施設などが整った良好な市街地をつくるための制度です。どの区域で、どの規模なら許可が要るのか、どんな例外があるのかが頻出なので、表で整理しながら読み進めてください。

開発行為とは

開発行為とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設のために行う、土地の区画形質の変更をいいます(都市計画法4条12項)。区画の変更(道路を入れて区画を分けるなど)、形の変更(切土・盛土など)、質の変更(農地や山林を宅地にするなど)が含まれます。

ポイントは「目的」です。たとえば、Aが青空駐車場をつくるために土地を造成しても、建築物の建築や特定工作物の建設を目的としていないので、開発行為には当たりません。逆に、建物を建てる目的で農地を宅地に造成するなら開発行為です。

特定工作物

特定工作物には、第一種と第二種があります(都市計画法4条11項、同法施行令1条)。

  • 第一種特定工作物:周辺の環境を悪化させるおそれがある工作物。コンクリートプラント、アスファルトプラント、クラッシャープラント、危険物の貯蔵・処理用の工作物など
  • 第二種特定工作物:大規模な工作物。ゴルフコース(規模を問わない)と、1ヘクタール以上の野球場・庭球場・陸上競技場・遊園地・動物園などの運動・レジャー施設、1ヘクタール以上の墓園

ゴルフコースだけは面積にかかわらず第二種特定工作物になります。1ヘクタール未満の野球場をつくるための造成は、特定工作物の建設を目的としないので開発行為に当たりません。

開発許可が必要な場合と面積の基準

都市計画区域または準都市計画区域内で開発行為をする人は、あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければなりません。指定都市・中核市の区域内では、その市長が許可します(都市計画法29条1項)。都市計画区域・準都市計画区域の外でも、1ヘクタール以上の開発行為には許可が必要です(同条2項、同法施行令22条の2)。

小規模な開発行為は、区域ごとに決められた面積未満なら許可が不要です(同法29条1項1号、同法施行令19条)。

区域許可が不要な規模
市街化区域1,000平方メートル未満(三大都市圏の既成市街地・近郊整備地帯などは500平方メートル未満。条例で300平方メートル以上の範囲まで引下げ可)
市街化調整区域規模による例外なし(小さくても許可が必要)
非線引き区域3,000平方メートル未満(条例で300平方メートル以上の範囲まで引下げ可)
準都市計画区域3,000平方メートル未満(条例で300平方メートル以上の範囲まで引下げ可)
都市計画区域・準都市計画区域の外1ヘクタール未満
出典:e-Gov法令検索「都市計画法」29条、「都市計画法施行令」19条・22条の2(2026年10月確認)

具体例で確認しましょう。Aが市街化区域(三大都市圏の特例のない地域)で800平方メートルの宅地分譲のための造成をする場合、1,000平方メートル未満なので許可は不要です。同じ800平方メートルでも、市街化調整区域なら許可が必要です。

規模にかかわらず許可が不要な開発行為

面積以外にも、許可が不要になる開発行為があります(都市計画法29条1項2号〜11号)。

農林漁業用の建築物・農林漁業者の住宅

市街化調整区域、非線引き区域、準都市計画区域で、農林漁業用の一定の建築物(畜舎、温室、サイロ、農機具の収納施設、建築面積90平方メートル以内の建築物など)や、農林漁業を営む人の住宅を建てるための開発行為は、許可が不要です(同項2号、同法施行令20条)。都市計画区域・準都市計画区域の外でも同様です(同条2項1号)。

この例外は市街化区域にはありません。市街化区域で1,000平方メートル以上の農家住宅用の造成をするなら、許可が必要です。

公益上必要な建築物

駅舎などの鉄道施設、図書館、公民館、変電所など、公益上必要な建築物で、周辺の土地利用や環境の保全に支障がないとして政令で定めるもののための開発行為は、どの区域でも許可が不要です(同項3号、同法施行令21条)。一方、学校、病院・診療所、社会福祉施設などは、この政令の一覧に含まれていません(同法施行令21条)。「病院を建てるための開発行為は許可不要」という選択肢は誤りです。

事業の施行や非常災害など

  • 都市計画事業、土地区画整理事業、市街地再開発事業、住宅街区整備事業、防災街区整備事業の施行として行うもの(同法29条1項4号〜8号)
  • 公有水面埋立法の免許を受けた埋立地で、竣功認可の告示前に行うもの(同項9号)
  • 非常災害のため必要な応急措置として行うもの(同項10号)
  • 通常の管理行為・軽易な行為。仮設建築物、車庫・物置などの附属建築物、床面積10平方メートル以内の増築のためのものなど(同項11号、同法施行令22条)

「土地区画整理事業の施行として」行う場合は不要ですが、土地区画整理事業の施行地区内であっても、事業とは別に個人が行う開発行為は許可の対象になりえます。言い回しに注意しましょう。

許可の申請と許可の基準

開発許可を申請しようとする人は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければなりません(都市計画法32条1項)。また、開発行為によって新たに設置される公共施設を管理することとなる者などとは、協議をしなければなりません(同条2項)。既存の公共施設は「同意」、新設される公共施設は「協議」と区別して覚えましょう。

申請書には、開発区域の位置・区域・規模、予定建築物等の用途、設計、工事施行者などを記載し、公共施設管理者の同意を得たことを証する書面などを添付します(同法30条)。

技術基準(33条)と立地基準(34条)

知事は、申請が33条の基準(技術基準)に適合していれば、許可をしなければなりません(同法33条1項)。技術基準には、予定建築物の用途が用途地域などに適合していること、道路・公園などの空地や排水施設が適切に配置されていること、災害防止の措置がとられていること、工事の妨げとなる権利を持つ人の相当数の同意を得ていることなどがあります。自己の居住用の住宅を建てるための開発行為では、道路などの空地の配置や給水施設など、一部の基準が適用されません(同項2号・4号など)。

市街化調整区域の開発行為(第二種特定工作物のためのものを除く)は、33条に加えて、34条各号のいずれかに当たる場合でなければ許可されません(同法34条)。周辺住民の日常生活に必要な店舗などが代表例です。

知事は、許可の申請があったときは遅滞なく許可または不許可の処分をし、文書で申請者に通知します(同法35条)。用途地域が定められていない区域で許可をするときは、必要に応じて建蔽率、建築物の高さ、壁面の位置などの制限を定めることができます(同法41条1項)。国や都道府県等が行う開発行為は、知事との協議が成立すれば許可があったものとみなされます(同法34条の2第1項)。

許可を受けた後の手続き

場面必要な手続き条文
申請書の記載事項を変更する知事の許可(軽微な変更は遅滞なく届出)都市計画法35条の2
工事を廃止した遅滞なく知事に届出都市計画法38条
工事が完了した知事に届出→検査→検査済証の交付→工事完了の公告都市計画法36条
相続などの一般承継許可に基づく地位を当然に承継都市計画法44条
土地の所有権などを買い受けた(特定承継)知事の承認を受けて地位を承継都市計画法45条
出典:e-Gov法令検索「都市計画法」(2026年10月確認)

開発行為で設置された公共施設は、工事完了公告の日の翌日に、原則としてその施設がある市町村の管理に属します(同法39条)。公共施設の用に供する土地は、原則として公告の日の翌日に、その公共施設の管理者に帰属します(同法40条2項)。

開発許可などの処分に不服がある人は、開発審査会に審査請求をします(同法50条1項)。

開発区域内外での建築の制限

工事完了の公告前(37条)

開発許可を受けた開発区域内では、工事完了の公告があるまで、建築物の建築や特定工作物の建設ができません(都市計画法37条)。ただし、次の場合は例外です。

  • 工事用の仮設建築物などを建てるとき、その他知事が支障がないと認めたとき
  • 開発行為に同意していない土地所有者などが、その権利の行使として建築するとき

工事完了の公告後(42条)

公告の後は、開発許可に係る予定建築物等以外の建築物を新築したり、建築物を改築・用途変更して予定建築物以外のものにしたりすることはできません(都市計画法42条1項)。ただし、知事が許可したとき、または開発区域内の土地に用途地域等が定められているときは除かれます(同項ただし書)。用途地域があれば、建築基準法の用途制限で十分に管理できるからです。

市街化調整区域の開発区域以外(43条)

市街化調整区域のうち、開発許可を受けた開発区域以外の区域では、知事の許可を受けなければ、建築物の新築・改築・用途変更や第一種特定工作物の新設ができません(都市計画法43条1項)。農林漁業用の建築物や公益上必要な建築物、都市計画事業の施行として行うもの、非常災害の応急措置、仮設建築物の新築などは除かれます。開発行為をともなわない建築でも、市街化調整区域では許可が必要になるという点が重要です。

数字・期間のまとめ

項目数字条文
第二種特定工作物(運動・レジャー施設、墓園)1ヘクタール以上(ゴルフコースは規模不問)都市計画法施行令1条2項
市街化区域の許可不要規模1,000平方メートル未満(三大都市圏の一定区域は500平方メートル未満)都市計画法施行令19条
非線引き区域・準都市計画区域の許可不要規模3,000平方メートル未満都市計画法施行令19条
条例による引下げ300平方メートルまで都市計画法施行令19条
区域外で許可が必要な規模1ヘクタール以上都市計画法施行令22条の2
農林漁業用として許可不要となる小規模建築物建築面積90平方メートル以内都市計画法施行令20条5号
軽易な行為となる増築床面積10平方メートル以内都市計画法施行令22条3号
出典:e-Gov法令検索「都市計画法」「都市計画法施行令」(2026年10月確認)

試験で問われやすいポイント

  • 市街化調整区域には小規模の例外がありません。面積が小さくても、農林漁業用などの例外に当たらなければ許可が必要です。
  • 農林漁業用建築物の例外は、市街化区域には適用されません。
  • 図書館・公民館・駅舎・変電所は許可不要の例外ですが、学校・病院・社会福祉施設は例外に含まれません。
  • 既存の公共施設の管理者とは「協議して同意」、新設される公共施設の管理者とは「協議」です。
  • 工事の廃止・軽微な変更は「届出」、変更は「許可」、特定承継は「承認」。手続きの名前を混同しないようにします。
  • 公告後の予定建築物以外の建築制限は、用途地域等が定められていれば適用されません。

まとめ

  • 開発行為は「建築物・特定工作物のための土地の区画形質の変更」で、目的がポイントです。
  • 許可不要の面積は、市街化区域1,000、非線引き・準都市計画区域3,000、区域外1ヘクタール未満。市街化調整区域には面積の例外がありません。
  • 農林漁業用建築物の例外は市街化区域以外、公益上必要な建築物の例外は全区域で使えます。
  • 完了公告の前後で建築の制限が変わり、市街化調整区域では開発区域の外でも建築に許可が必要です。

区域の種類があいまいな人は、前の章都市計画法(区域と都市計画)に戻って確認しましょう。

この章の内容は、法令上の制限の一問一答で確認できます。

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