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法令上の制限 第6章

国土利用計画法

この章では、国土利用計画法の土地取引の届出制度を学びます。試験で中心になるのは「事後届出」です。誰が、いつまでに、どれくらいの面積で届け出るのか、そして届出がどう審査されるのかを押さえれば、得点しやすい分野です。

制度の全体像

国土利用計画法は、地価の高騰や乱開発を防ぎ、土地が適正に利用されるよう、一定の土地取引を都道府県知事がチェックする仕組みを設けています。地価の動向に応じて、次の4段階に分かれます。

区域手続き主な審査対象条文
規制区域契約の前に許可価格・利用目的など国土利用計画法14条
監視区域契約の前に届出(事前届出)価格・利用目的など国土利用計画法27条の7
注視区域契約の前に届出(事前届出)価格・利用目的など国土利用計画法27条の4
上記以外の区域契約の後に届出(事後届出)利用目的のみ国土利用計画法23条
出典:e-Gov法令検索「国土利用計画法」(2026年10月確認)

規制区域・監視区域・注視区域は、地価が急激に上昇しているなどの特別な事情がある区域を都道府県知事が指定するものです。指定がない大部分の区域では、事後届出が適用されます。

届出が必要な「土地売買等の契約」

届出の対象は「土地売買等の契約」です。土地に関する所有権・地上権・賃借権(またはこれらの権利の取得を目的とする権利)の移転または設定を、対価を得て行う契約で、予約も含みます(国土利用計画法14条1項、同法施行令5条)。つまり、次の3つがそろったときに対象になります。

  1. 権利:所有権、地上権、賃借権など
  2. 対価:お金などの対価を得て行うこと
  3. 契約:当事者の合意による契約であること(予約を含む)

この定義から考えると、売買・交換・売買の予約は対象になります。一方、贈与(対価がない)、相続や時効取得(契約ではない)、抵当権の設定(使用・収益を目的とする権利ではない)は対象になりません。

事後届出のルール

誰が、いつまでに、どこへ

土地売買等の契約を締結した場合、権利を取得する人(権利取得者。売買なら買主)が、契約を締結した日から起算して2週間以内に、土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出ます(国土利用計画法23条1項)。売主には届出義務がありません。

届け出る事項には、契約の当事者、契約日、土地の所在・面積、権利の種別・内容、取得後の土地の利用目的、対価の額などが含まれます(同項各号)。

届出が必要な面積

区域届出が必要な面積
市街化区域2,000平方メートル以上
市街化区域以外の都市計画区域(市街化調整区域・非線引き区域)5,000平方メートル以上
都市計画区域外(準都市計画区域を含む)10,000平方メートル(1ヘクタール)以上
出典:e-Gov法令検索「国土利用計画法」23条2項1号(2026年10月確認)

準都市計画区域は都市計画区域ではないので、1ヘクタール以上が基準になります。開発許可の面積(準都市計画区域は3,000平方メートル)と混同しないようにしましょう。

一団の土地

1回の契約の面積が基準未満でも、権利取得者が、その土地を含む「一団の土地」として基準以上の面積を取得する場合は、届出が必要です(国土利用計画法23条2項1号かっこ書)。一団の土地とは、一般に、物理的にまとまりがあり、同じ利用目的で計画的に取得される土地をいいます。

たとえば、市街化区域で、Aがマンション用地として隣接するBの土地1,200平方メートルとCの土地1,000平方メートルを別々に購入した場合、Aは合計2,200平方メートルの一団の土地を取得するので、それぞれの契約について届出が必要です。逆に、Dが所有する市街化区域の3,000平方メートルの土地を、EとFにそれぞれ1,500平方メートルずつ売った場合、権利取得者ごとに見ると2,000平方メートル未満なので、届出は不要です。事後届出では、権利取得者の側だけで一団かどうかを判断します。

届出が不要な場合

面積が基準未満の場合のほか、次の場合は事後届出が不要です(国土利用計画法23条2項2号・3号、同法施行令17条・6条)。

  • 当事者の一方または双方が、国・地方公共団体などである場合
  • 民事調停法による調停に基づく場合
  • 農地法3条1項の許可を受けることを要する場合
  • 滞納処分、強制執行、担保権の実行としての競売などにより換価する場合
  • 規制区域・注視区域・監視区域に所在する土地の場合(それぞれ許可や事前届出の対象になるため)

農地法3条の許可が必要な場合は不要ですが、農地法5条の許可(転用目的の権利移動)が必要な場合は、国土利用計画法の届出も必要になる点に注意しましょう。

届出後の審査と勧告

都道府県知事は、届出に係る土地の利用目的が土地利用基本計画などに適合せず、周辺地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、利用目的について必要な変更をすべきことを勧告できます(国土利用計画法24条1項)。

  • 勧告の期限:届出があった日から起算して3週間以内。合理的な理由があれば、3週間の範囲内で延長できます(同条2項・3項)
  • 勧告の対象:利用目的だけです。届出事項に対価の額は含まれますが、事後届出では価格についての勧告はできません
  • 勧告に従わない場合:知事は、その旨と勧告の内容を公表できます(同法26条)。罰則はなく、契約も無効になりません
  • 勧告に従って利用目的が変更された場合:知事は、必要があれば土地に関する権利の処分についてのあっせんなどに努めます(同法27条)
  • 助言:知事は、勧告とは別に、利用目的について必要な助言をすることができます(同法27条の2)

一方、届出をしなかった人や虚偽の届出をした人は、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(同法47条)。届出をしなかった場合でも、契約自体は有効です。

事前届出と許可制

注視区域・監視区域の事前届出

注視区域内の土地について土地売買等の契約を締結しようとする場合は、当事者が、あらかじめ市町村長を経由して都道府県知事に届け出ます(国土利用計画法27条の4第1項)。事後届出と違い、売主と買主の両方が当事者として届け出ます。面積の基準は事後届出と同じですが、一団の土地かどうかは当事者の一方または双方について判断します(同条2項1号)。

届出をした人は、届出の日から起算して6週間を経過するまでは、原則として契約を締結してはなりません(同条3項)。知事は、予定対価の額や利用目的に問題があるときは、届出の日から6週間以内に、契約の締結の中止などを勧告できます(同法27条の5第1項・2項)。

監視区域でも同じ事前届出の仕組みが使われますが、届出が必要な面積は、事後届出の基準に満たない範囲で都道府県の規則で定めます(同法27条の7第1項)。

規制区域の許可制

規制区域内の土地について土地売買等の契約を締結しようとする場合は、当事者が都道府県知事の許可を受けなければなりません(国土利用計画法14条1項)。許可を受けないで締結した契約は、効力を生じません(同条3項)。届出制の区域で届出を怠っても契約が有効なのとは対照的です。

数字・期間のまとめ

項目数字・期間条文
事後届出の期限契約締結日から起算して2週間以内国土利用計画法23条1項
事後届出の面積市街化区域2,000/その他の都市計画区域5,000/区域外10,000平方メートル以上国土利用計画法23条2項1号
勧告の期限届出の日から3週間以内(3週間の範囲で延長可)国土利用計画法24条2項・3項
注視区域の契約締結制限届出の日から6週間国土利用計画法27条の4第3項
注視区域の勧告の期限届出の日から6週間以内国土利用計画法27条の5第2項
罰則(届出をしない)6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金国土利用計画法47条
出典:e-Gov法令検索「国土利用計画法」(2026年10月確認)

試験で問われやすいポイント

  • 事後届出は権利取得者(買主)だけが行います。売主は届け出ません。
  • 一団の土地の判断は、事後届出では権利取得者の側だけ。大きな土地を分割して複数人に売っても、買主ごとに基準未満なら届出は不要です。
  • 勧告の対象は利用目的だけで、対価の額は勧告の対象になりません。
  • 勧告に従わなくても罰則はなく、公表されることがあるだけです。届出をしないことには罰則があります。どちらの場合も契約は有効です。
  • 贈与・相続・時効取得・抵当権の設定は、土地売買等の契約に当たりません。
  • 当事者の一方が国・地方公共団体なら届出は不要です。

まとめ

  • 事後届出は、権利取得者が契約から2週間以内に、市町村長を経由して知事に届け出ます。
  • 面積は市街化区域2,000、その他の都市計画区域5,000、区域外10,000平方メートル以上です。
  • 知事は3週間以内に利用目的について勧告でき、従わなければ公表できます。
  • 注視区域・監視区域は事前届出、規制区域は許可制で、無許可の契約は無効です。

農地の取引との関係は、次の章農地法で確認しましょう。

この章の内容は、法令上の制限の一問一答で確認できます。

法令上の制限の目次