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法令上の制限 第1章

都市計画法(区域と都市計画)

この章では、都市計画法のうち「どこに、どんな都市計画を定めるか」という仕組みを学びます。区域の種類、用途地域、地区計画、都市計画の決め方、都市計画が決まった土地での建築の制限まで、法令上の制限の土台になる部分です。次の章の開発許可や、建築基準法の用途制限を理解するためにも、最初にしっかり押さえておきましょう。

都市計画区域と準都市計画区域

都市計画は、原則として「都市計画区域」の中で定めます。都市計画区域は、一体の都市として総合的に整備・開発・保全する必要がある区域として、都道府県が指定します(都市計画法5条1項)。指定するときは、あらかじめ関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴き、国土交通大臣に協議して同意を得る必要があります(同条3項)。2つ以上の都府県にまたがる都市計画区域は、国土交通大臣が指定します(同条4項)。

都市計画区域は、市町村の区域にとらわれずに指定できます。必要があれば、市町村の区域の外にわたって指定することもできます(同条1項)。行政区画ではなく、実際の都市のまとまりで線を引くということです。

一方、「準都市計画区域」は、都市計画区域の外で、建物の建築や敷地の造成が進んでいる(または進むと見込まれる)区域を、そのまま放置すると将来の都市整備に支障が出るおそれがあるときに、都道府県が指定するものです(同法5条の2第1項)。指定の際には、関係市町村と都道府県都市計画審議会の意見を聴きます(同条2項)。準都市計画区域は「開発を進める区域」ではなく、「土地利用を整える・環境を守る」ための区域です。そのため、定められる都市計画は限られています。

区域区分(市街化区域と市街化調整区域)

都市計画区域は、必要があるときは「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けることができます。この区分を区域区分といい、いわゆる「線引き」と呼ばれます(都市計画法7条1項)。三大都市圏の一定の区域などを含む都市計画区域では、区域区分を必ず定めます(同項ただし書)。

  • 市街化区域:すでに市街地を形成している区域と、おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域(同条2項)
  • 市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域(同条3項)
  • 区域区分が定められていない都市計画区域:試験では「非線引き区域」と呼ばれることが多い区域です

区域区分は都道府県が定める都市計画です(同法15条1項2号)。市街化区域は「街にしていく場所」、市街化調整区域は「当面は街にしない場所」と考えると、この後の用途地域や開発許可のルールが理解しやすくなります。

地域地区と13種類の用途地域

地域地区は、土地の使い方や建物の形を地域ごとにコントロールするための都市計画です。その中心が「用途地域」で、田園住居地域を含めて13種類あります(都市計画法8条1項1号)。

系統用途地域定める目的(要旨)
住居系第一種低層住居専用地域低層住宅の良好な住環境を守る
住居系第二種低層住居専用地域主として低層住宅の良好な住環境を守る
住居系第一種中高層住居専用地域中高層住宅の良好な住環境を守る
住居系第二種中高層住居専用地域主として中高層住宅の良好な住環境を守る
住居系第一種住居地域住居の環境を守る
住居系第二種住居地域主として住居の環境を守る
住居系準住居地域道路の沿道の業務の利便を図りつつ、住環境を守る
住居系田園住居地域農業の利便を図りつつ、低層住宅の良好な住環境を守る
商業系近隣商業地域近隣の住民に日用品を供給する商業などの利便を増進する
商業系商業地域主として商業などの利便を増進する
工業系準工業地域主として環境悪化のおそれがない工業の利便を増進する
工業系工業地域主として工業の利便を増進する
工業系工業専用地域工業の利便を増進する
出典:e-Gov法令検索「都市計画法」8条・9条(2026年10月確認)

市街化区域には、少なくとも用途地域を定めます。市街化調整区域には、原則として用途地域を定めません(同法13条1項7号)。非線引き区域や準都市計画区域には、必要に応じて用途地域を定めることができます。

用途地域を補う地域地区

用途地域の上に重ねて、または用途地域の外で、さらに細かいルールを定める地域地区があります。試験でよく出るものを、定められる場所とあわせて整理します(同法9条)。

  • 特別用途地区:用途地域内で、用途地域の指定を補完して特別の目的を実現するために定めます(同条14項)
  • 特定用途制限地域:用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く)で、制限すべき建築物の用途の概要を定めます(同条15項)
  • 高度地区:用途地域内で、建築物の高さの最高限度または最低限度を定めます(同条18項)
  • 高度利用地区:用途地域内で、容積率の最高限度・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面の位置の制限を定めます(同条19項)
  • 特定街区:街区の整備・造成が行われる地区で、容積率、高さの最高限度、壁面の位置の制限を定めます(同条20項)
  • 防火地域・準防火地域:市街地の火災の危険を防ぐために定めます(同条21項)

名前が似ている高度地区と高度利用地区は、試験でよく入れ替えて問われます。「高度地区は高さだけ」「高度利用地区は容積率・建蔽率など土地の高度利用のための制限」と区別しましょう。

準都市計画区域に定められる地域地区

準都市計画区域に定められる地域地区は、用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、高度地区(高さの最高限度を定めるものに限る)、景観地区、風致地区、緑地保全地域、伝統的建造物群保存地区に限られます(同法8条2項・3項2号ト)。市街化を進めるための高度利用地区や特定街区、防火地域・準防火地域は定められません。

なお、2026年11月26日に施行が予定されている改正(令和8年法律第23号)で、都市再生特別措置法にもとづく「特定業務施設等誘導地区」が地域地区に加わります(改正後の同法8条1項4号の2)。2026年10月時点ではまだ施行されていません。試験は年度ごとに基準日時点の法令で出題されるため、受験年度の教材で確認してください。

都市施設・市街地開発事業・地区計画

都市施設は、道路・公園・下水道・学校・病院など、都市に必要な施設です(都市計画法11条1項)。都市計画区域内に定めるのが原則ですが、特に必要があるときは都市計画区域の外にも定めることができます(同項後段)。

  • 市街化区域と非線引き区域には、少なくとも道路・公園・下水道を定めます(同法13条1項11号)
  • 住居系の8つの用途地域(第一種低層住居専用地域〜準住居地域と田園住居地域)には、義務教育施設も定めます(同号)

市街地開発事業は、土地区画整理事業や市街地再開発事業など、一定の区域を一体的に開発・整備する事業です。市街地開発事業は、市街化区域または非線引き区域に定めます(同法13条1項13号)。市街化調整区域や準都市計画区域には定められません。

地区計画は、街区単位で、道路や公園などの配置、建物の形や用途を細かく定める計画です。用途地域が定められている区域のほか、用途地域が定められていない区域でも、住宅市街地の開発事業が行われる区域などの一定の要件を満たせば定めることができます(同法12条の5第1項)。

地区整備計画などが定められた地区計画の区域内で、土地の区画形質の変更や建築物の建築などを行う人は、行為に着手する日の30日前までに、行為の種類や場所などを市町村長に届け出なければなりません(同法58条の2第1項)。許可ではなく「届出」で、届出先が「市町村長」である点を覚えておきましょう。

都市計画を決める人と手続き

都市計画は、広域的なものを都道府県が、それ以外を市町村が定めます(都市計画法15条1項)。区域区分や都市計画区域の整備・開発・保全の方針は都道府県、用途地域や地区計画は市町村、というのが典型的な分担です。市町村が定めた都市計画が都道府県の都市計画と抵触するときは、その限りで都道府県の都市計画が優先します(同条4項)。

  1. 必要に応じて公聴会の開催など、住民の意見を反映させる措置をとります(同法16条1項)
  2. 都市計画の案を公告し、公告の日から2週間、公衆の縦覧に供します。住民や利害関係人は、縦覧期間の満了日までに意見書を提出できます(同法17条1項・2項)
  3. 都道府県は関係市町村の意見を聴き、都道府県都市計画審議会の議を経て決定します(同法18条1項)。市町村は市町村都市計画審議会(置かれていなければ都道府県都市計画審議会)の議を経て決定し、あらかじめ都道府県知事に協議します(同法19条1項・3項)
  4. 決定したら告示し、都市計画は告示の日から効力を生じます(同法20条1項・3項)

住民の側から都市計画を提案することもできます。一体として整備などをすべき0.5ヘクタール以上の一団の土地について、土地の所有者や借地権者が、対象区域内の所有者等の3分の2以上の同意(人数と面積の両方)を得て、都市計画の素案を添えて提案できます(同法21条の2第1項・4項2号、同法施行令15条)。まちづくりNPOなども提案できます(同法21条の2第2項)。0.5ヘクタールは、条例で0.1ヘクタール以上まで引き下げられることがあります(同法施行令15条ただし書)。

都市計画が決まった土地での建築の制限

道路や公園などの計画がある土地に、勝手に頑丈な建物を建てられると、あとで事業を進めにくくなります。そこで、段階に応じて建築などが制限されます。

都市計画施設の区域・市街地開発事業の施行区域

都市計画施設の区域や市街地開発事業の施行区域で建築物を建築する人は、都道府県知事等の許可を受けなければなりません(都市計画法53条1項)。軽易な行為や非常災害の応急措置などは除かれます。知事等は、たとえば次の要件を満たし、容易に移転・除却できると認められる建築物であれば、許可をしなければなりません(同法54条3号)。

  • 階数が2以下で、かつ地階を有しないこと
  • 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造などであること

ここで制限されるのは「建築物の建築」で、土地の形質の変更は対象になっていない点に注意しましょう。

都市計画事業の事業地内

都市計画事業の認可・承認の告示があると、制限はさらに厳しくなります。事業地内で、事業の障害となるおそれがある土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設、重量が5トンを超える移動の容易でない物件の設置・堆積をする人は、都道府県知事等の許可が必要です(同法65条1項、同法施行令40条)。

また、事業地内の土地建物等を有償で譲り渡そうとする人は、施行者に届け出なければならず、施行者は先買いができます(同法67条1項)。都市計画施設の区域のうち知事等が指定した区域など(事業予定地)でも、公告の翌日から起算して10日を経過した後に土地を有償で譲り渡すときは届出が必要で、届出から30日以内に買い取る旨の通知があると、届出書の予定対価で売買が成立したものとみなされます(同法57条2項・3項)。

数字・期間のまとめ

項目数字・期間条文
市街化区域の「おおむね」10年以内に優先的・計画的に市街化都市計画法7条2項
用途地域の種類13種類(田園住居地域を含む)都市計画法8条1項1号
都市計画の案の縦覧公告の日から2週間都市計画法17条1項
都市計画の提案ができる規模0.5ヘクタール以上(条例で0.1ヘクタールまで引下げ可)都市計画法施行令15条
提案に必要な同意所有者等の3分の2以上(人数・面積とも)都市計画法21条の2第4項2号
地区計画の区域内の届出着手の30日前までに市町村長へ都市計画法58条の2第1項
都市計画施設の区域内で許可される建築物階数2以下・地階なし・木造等で容易に移転除却できるもの都市計画法54条3号
事業地内で許可が必要な物件重量5トン超の移動の容易でない物件都市計画法施行令40条
事業予定地の土地の先買い公告の翌日から10日経過後は届出、届出後30日以内に買取通知都市計画法57条2項・3項
出典:e-Gov法令検索「都市計画法」「都市計画法施行令」(2026年10月確認)

試験で問われやすいポイント

  • 都市計画区域は市町村の区域をまたいで指定できます。都道府県が指定し、2以上の都府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定します。
  • 市街化調整区域には「原則として」用途地域を定めません。「定めることができない」と言い切る選択肢には注意します。
  • 準都市計画区域には、高度利用地区・特定街区・防火地域・準防火地域・区域区分・市街地開発事業は定められません。高度地区は高さの最高限度に限って定められます。
  • 特定用途制限地域は「用途地域が定められていない区域(市街化調整区域を除く)」に定めます。用途地域内に定めるのは特別用途地区です。
  • 地区計画の区域内は「30日前までに市町村長へ届出」。都道府県知事の許可ではありません。

まとめ

  • 都市計画区域・準都市計画区域は都道府県が指定し、都市計画区域は必要に応じて市街化区域と市街化調整区域に区分します。
  • 用途地域は田園住居地域を含めて13種類。市街化区域には必ず定め、市街化調整区域には原則として定めません。
  • 都市施設・市街地開発事業・地区計画は、定められる区域と届出・許可の相手方をセットで覚えます。
  • 都市計画施設の区域では建築に知事等の許可が必要で、事業の認可後は土地の形質の変更なども許可の対象になります。

開発行為の許可については、次の章都市計画法(開発許可)で学びます。数字の一覧は法令上の制限の数字まとめも参考にしてください。

この章の内容は、法令上の制限の一問一答で確認できます。

法令上の制限の目次