税・その他 第1章
不動産取得税
この章では、土地や建物を手に入れたときに一度だけかかる「不動産取得税」を学びます。誰が・何に対して・いくら課税されるのか、どんな場合に課税されないのか、住宅についての軽減の仕組みを順に整理します。税の分野では固定資産税と並んでよく出る税目で、免税点や控除額などの数字がそのまま問われます。
不動産取得税はどんな税か
不動産取得税は、不動産(土地と家屋)を取得した人に対して、その不動産がある都道府県が課す地方税です(地方税法73条の2第1項)。法律の条文では「道府県」と書かれていますが、東京都も同じ扱いです。
ここでいう「取得」は、売買だけではありません。贈与、交換、家屋の新築・増築も取得にあたります。有償か無償か、登記をしたかどうかも関係ありません。たとえば、AがBから土地を無償でもらった(贈与)場合も、Aに不動産取得税がかかります。
家屋の改築と新築家屋の扱い
- 改築:家屋を改築して価格が増えた場合は、その改築を家屋の取得とみなして課税します。課税標準は、改築によって増えた価格です(地方税法73条の2第3項、73条の13第2項)。
- 新築家屋:家屋が新築されたときは、最初に使用または譲渡が行われた日に取得があったものとみなされます。新築から6か月たっても使用も譲渡もされないときは、6か月を経過した日に、その時点の所有者が取得したものとみなされます(同法73条の2第2項)。
- 宅建業者などが売る新築住宅:家屋の新築・譲渡を業とする一定の者が売り渡す新築住宅については、上の「6か月」が「1年」に延長されています。2031年3月31日までに新築されたものが対象です(同法附則10条の3第1項)。
課税されない取得(非課税)
形のうえでは所有者が変わっても、実質的な財産の移転とはいえない取得には、不動産取得税がかかりません(地方税法73条の7)。試験でよく問われるのは次のものです。
- 相続による取得(包括遺贈と、相続人に対する遺贈を含みます)
- 法人の合併による取得、一定の要件を満たす会社分割による取得
- 共有物の分割による取得(もとの持分の割合を超える部分の取得を除きます)
このほか、国や都道府県・市町村などが取得する場合も課税されません(同法73条の3)。反対に、贈与や交換による取得、相続人以外の人への特定遺贈による取得は非課税にあたらず、課税されます。「相続は非課税、贈与は課税」という区別をしっかり押さえましょう。
課税標準と税率
課税標準(税額を計算するもとになる金額)は、不動産を取得したときの不動産の価格です(地方税法73条の13第1項)。固定資産課税台帳に価格が登録されている不動産は、原則としてその登録価格によります(同法73条の21第1項)。実際に支払った購入代金ではない点に注意してください。
標準税率(地方団体が通常よるべき税率)は4%です(同法73条の15)。ただし、2027年3月31日までに住宅または土地を取得した場合は3%に軽減されています(同法附則11条の2第1項)。店舗や事務所など住宅以外の家屋は、この特例の対象外なので4%のままです。
さらに、宅地や宅地に準じて評価される土地(宅地評価土地)を2027年3月31日までに取得した場合は、課税標準が価格の2分の1になります(同法附則11条の5第1項)。たとえばAが固定資産課税台帳の価格2,000万円の宅地を買った場合、課税標準は1,000万円、税率3%で、税額は30万円です(住宅用土地の減額を考えない場合)。
3%の税率と宅地の2分の1の特例は、いずれも期限付きです。こうした特例は税制改正で延長されることが多いため、受験する年度の4月1日時点でどうなっているかを、最新の情報で確認しましょう。
免税点
課税標準となる額が一定額に満たないときは、不動産取得税は課税されません。これを免税点といいます(地方税法73条の15の2第1項)。2026年4月1日以後の取得から、免税点は次のとおり引き上げられました。
- 土地の取得:16万円未満(改正前は10万円)
- 家屋の取得のうち建築(新築・増築・改築)によるもの:1戸につき66万円未満(改正前は23万円)
- 家屋の取得のうち売買などそれ以外のもの:1戸につき34万円未満(改正前は12万円)
土地を取得した人が1年以内に隣接する土地を取得した場合は、前後の取得をまとめて1つの土地の取得とみなして免税点を判定します。家屋を取得した人が1年以内にその家屋と一構となる家屋を取得した場合も同じです(同法73条の15の2第2項)。少しずつ分けて取得して免税点を下回らせることはできない、という趣旨です。
住宅に関する軽減
新築住宅の1,200万円控除
住宅を新築した場合(新築でまだ人が住んだことのない住宅を買った場合を含みます)は、1戸につき1,200万円を価格から控除します(地方税法73条の14第1項)。共同住宅は、独立した1区画ごとに控除します。この控除は、取得者が個人か法人か、自分で住むか賃貸に出すかを問いません。
対象となるのは、床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下の住宅です(地方税法施行令37条の16・37条の17)。この下限は2026年4月1日以後の取得から原則50平方メートルが40平方メートルに引き下げられました。ただし、東京23区内の特定都市再生緊急整備地域にある、賃貸用以外の住宅などは50平方メートル以上が要件です(令和8年政令第83号附則3条)。
認定長期優良住宅を2031年3月31日までに新築した場合は、控除額が1,300万円になります(地方税法附則11条8項)。
既存住宅(中古住宅)の控除
中古住宅の場合は要件が厳しくなります。個人が自分で住むために取得すること、耐震基準に適合していること(1982年1月1日以後に新築されたもの、または証明を受けたもの)、床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であることが必要です(地方税法73条の14第3項、同法施行令37条の18)。控除額は、その住宅が新築されたときの法律で定められていた控除額です。法人が取得する中古住宅や、賃貸用の中古住宅には適用されません。
住宅用の土地の税額の減額
住宅の敷地となる土地を取得し、一定の期間内にその上に住宅が新築された場合などは、土地の税額から次のいずれか多い額が減額されます(地方税法73条の24第1項)。
- 150万円 × 税率
- 土地1平方メートルあたりの価格 × 住宅の床面積の2倍(1戸につき200平方メートルが限度)× 税率
土地を先に取得した場合、原則は取得から2年以内に住宅が新築されることが要件です。2031年3月31日までの土地の取得については、これが3年以内(一定の場合は4年以内)に延長されています(同法附則10条の3第2項)。宅地評価土地の2分の1特例が適用される場合は、「1平方メートルあたりの価格」も2分の1にした額で計算します(同法附則11条の5第2項)。
納め方
不動産取得税は普通徴収(都道府県から届く納税通知書で納める方法)で徴収されます(地方税法73条の17第1項)。不動産を取得した人は、条例で定める期間内に取得の事実などを申告または報告します。ただし、その期間内に表示の登記や所有権の登記を申請した場合は、申告は不要です(同法73条の18第1項)。
数字・期間のまとめ
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 標準税率 | 4%。住宅・土地は2027年3月31日までの取得について3% | 地方税法73条の15、附則11条の2 |
| 宅地評価土地の課税標準 | 価格の2分の1(2027年3月31日までの取得) | 附則11条の5 |
| 免税点(2026年4月1日以後の取得) | 土地16万円、家屋の建築66万円、その他の家屋34万円 | 73条の15の2 |
| 新築住宅の控除 | 1戸1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)。床面積40平方メートル以上240平方メートル以下 | 73条の14、附則11条8項、施行令37条の16 |
| 新築家屋の取得とみなす時期 | 新築から6か月経過(宅建業者などが売る新築住宅は1年、2031年3月31日までの新築) | 73条の2第2項、附則10条の3 |
| 住宅用土地の減額 | 150万円か、1平方メートルの価格×床面積の2倍(200平方メートル限度)の多い方×税率 | 73条の24 |
試験で問われやすいポイント
- 相続・法人の合併による取得は非課税ですが、贈与・交換による取得は課税されます。
- 課税標準は固定資産課税台帳の登録価格が原則で、実際の売買代金ではありません。
- 3%の軽減税率は「住宅と土地」だけです。店舗などの住宅以外の家屋は4%です。
- 新築住宅の1,200万円控除は法人や賃貸用でも使えますが、中古住宅の控除は個人が自分で住む場合に限られます。
- 免税点は2026年4月1日以後の取得から土地16万円・建築66万円・その他34万円です。古い教材の10万円・23万円・12万円と混同しないようにしましょう。
- 家屋の改築は、価格が増えた部分が課税標準になります。
まとめ
- 不動産取得税は、不動産を取得した人に、不動産がある都道府県が一度だけ課す税です。
- 標準税率は4%で、住宅と土地は2027年3月31日までの取得について3%。宅地は課税標準が2分の1になります。
- 免税点は土地16万円、家屋の建築66万円、その他の家屋34万円です(2026年4月1日以後の取得)。
- 新築住宅は1戸1,200万円控除、住宅用の土地は税額の減額があります。期限付きの特例は延長の有無を確認しましょう。
毎年かかる固定資産税との違いは、次の章固定資産税で確認できます。
この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。