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税・その他 第6章

住宅取得等資金の贈与税の特例

この章では、親や祖父母から住宅を買うためのお金をもらったときの贈与税の特例を学びます。非課税になる金額、もらう人(受贈者)の年齢や所得、住宅の床面積など、要件の数字がそのまま問われます。前提となる贈与税の2つの課税方法(暦年課税と相続時精算課税)から順に確認しましょう。

贈与税の2つの課税方法

暦年課税

贈与税は、原則として1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額に課されます。この方法では、課税価格から110万円の基礎控除を差し引けます(租税特別措置法70条の2の4第1項)。1年間にもらった額が110万円以下なら贈与税はかかりません。

相続時精算課税

相続時精算課税は、贈与の時には軽い負担で済ませ、贈与者が亡くなったときに相続税で精算する制度です。原則として、その年の1月1日において60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫(推定相続人である直系卑属と孫)が贈与を受ける場合に選択できます(相続税法21条の9第1項、租税特別措置法70条の2の6第1項)。

  • 毎年110万円の基礎控除があります(2024年1月1日以後の贈与。租税特別措置法70条の3の2)。
  • 基礎控除後の金額から、贈与者ごとに累計2,500万円まで特別控除できます(相続税法21条の12)。
  • 特別控除を超える部分には、一律20%の税率がかかります(同法21条の13)。
  • 選択の届出書を出した後は、撤回できません(同法21条の9第6項)。

住宅取得等資金の贈与税の非課税

2024年1月1日から2026年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母)から住宅取得等資金の贈与を受けた人が要件を満たすと、一定の金額まで贈与税が非課税になります(租税特別措置法70条の2第1項)。配偶者の父母は直系尊属ではないので、この特例の対象外です。

非課税になる金額

  • 省エネ性・耐震性・バリアフリー性などの基準を満たす住宅:1,000万円
  • それ以外の住宅:500万円

この限度額は受贈者1人ごとの金額で、過去にこの特例の適用を受けて非課税になった額があれば、その残りの額が限度です(租税特別措置法70条の2第1項・2項6号)。非課税になった金額は、贈与者が亡くなったときの相続税の計算でも、相続財産に加算する対象になりません(同条3項)。

受贈者の要件

  • 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は1,000万円以下であること(同条2項1号、同法施行令40条の4の2第1項)
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、資金の全額を住宅の新築・取得・増改築の対価にあて、住み始めること(同日後遅滞なく住むことが確実と見込まれる場合を含みます。その場合は、その年の12月31日までに住む必要があります)(同条1項・4項)
  • 配偶者や親族など特別の関係がある者から住宅を取得したり、それらの者との請負契約で建てたりする場合は対象外です(同条2項5号)。

住宅の要件

  • 床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下で、床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること(同法施行令40条の4の2第2項)
  • 国内にある住宅であること
  • 中古住宅は耐震基準に適合すること(1982年1月1日以後に建築されたものは適合とみなされます)(同条3項)
  • 増改築の場合は、工事費用が100万円以上であること(租税特別措置法70条の2第2項4号)

住宅の取得とともにする土地の取得のための資金も対象になります。ただし、土地だけを買って住宅を取得しない場合は対象外です。

非課税の特例を使うには、贈与税の申告書に特例の適用を受ける旨を記載し、計算明細書などの書類を添付して提出する必要があります(租税特別措置法70条の2第14項)。非課税の範囲内で納める税額がゼロになる場合でも、申告が要件になっている点に注意しましょう。

この非課税の特例は、暦年課税の基礎控除や相続時精算課税と組み合わせて使えます。たとえば、2026年に20歳のAが父から省エネ基準を満たす新築住宅の購入資金1,200万円の贈与を受けた場合、1,000万円が非課税となり、残り200万円について暦年課税なら110万円の基礎控除を差し引いて贈与税を計算します。

住宅取得等資金の相続時精算課税の特例

通常の相続時精算課税は、贈与者が1月1日に60歳以上であることが要件です。しかし、住宅取得等資金の贈与については、2026年12月31日までの贈与であれば、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選択できます(租税特別措置法70条の3第1項)。

  • 受贈者は、贈与者の直系卑属である推定相続人(孫を含む)で、贈与を受けた年の1月1日に18歳以上であること(同条3項1号)
  • 住宅の床面積は40平方メートル以上(上限なし)で、床面積の2分の1以上が居住用であること(同法施行令40条の5第1項)
  • 受贈者の所得の要件はありません。

たとえば、50歳の母Bから、25歳の子Cが住宅購入資金3,000万円の贈与を受け、この特例で相続時精算課税を選んだとします。基礎控除110万円を差し引いた2,890万円から特別控除2,500万円を差し引き、残り390万円に20%を掛けた78万円が贈与税になります(非課税の特例を併用しない場合)。精算課税で贈与を受けた財産は、Bが亡くなったときに相続税の計算に組み込まれて精算されます。

非課税の特例と比べると、所得要件がない、床面積の上限がないという違いがあります。どちらの特例も2026年12月31日までの贈与が対象です。2027年以降の扱いは、令和9年度の税制改正で延長されるかどうかを確認する必要があります。

数字・期間のまとめ

項目非課税の特例(措置法70条の2)精算課税の特例(措置法70条の3)
対象期間2024年1月1日〜2026年12月31日の贈与2026年12月31日までの贈与
贈与者直系尊属(年齢要件なし)父母・祖父母(60歳未満でも可)
受贈者の年齢1月1日に18歳以上1月1日に18歳以上の推定相続人(孫を含む)
受贈者の所得合計所得2,000万円以下(40〜50平方メートル未満は1,000万円以下)要件なし
床面積40平方メートル以上240平方メートル以下40平方メートル以上
金額省エネ等住宅1,000万円、その他500万円まで非課税累計2,500万円の特別控除+毎年110万円の基礎控除、超える部分は20%
出典:e-Gov法令検索「租税特別措置法」「租税特別措置法施行令」「相続税法」(2026年10月時点)

試験で問われやすいポイント

  • 非課税の特例は直系尊属からの贈与に限られ、配偶者の父母からの贈与は対象外です。
  • 受贈者の年齢は「贈与を受けた年の1月1日に18歳以上」で判定します。
  • 合計所得金額の上限は2,000万円(床面積40平方メートル以上50平方メートル未満は1,000万円)です。
  • 精算課税の特例は贈与者が60歳未満でも使えますが、受贈者の年齢要件(18歳以上)はあります。
  • 非課税の特例と暦年課税の基礎控除110万円は併用できます。

まとめ

  • 直系尊属からの住宅取得等資金の贈与は、省エネ等住宅で1,000万円、その他で500万円まで非課税です。
  • 受贈者は1月1日に18歳以上、合計所得2,000万円以下、住宅は40平方メートル以上240平方メートル以下が要件です。
  • 住宅取得等資金なら、贈与者が60歳未満でも相続時精算課税を選べます。
  • どちらの特例も2026年12月31日までの贈与が対象なので、延長の有無を必ず確認しましょう。

この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。

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