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税・その他 第7章

地価公示法

この章では、毎年発表される「公示価格」の根拠となる地価公示法を学びます。地価公示は、誰が・どこで・いつ時点の・どんな価格を・どのように公示するのかという手続の流れが問われます。条文の数が少なく、言葉の使い分け(「指標」と「規準」など)を押さえれば得点しやすい分野です。

地価公示の目的

地価公示法は、都市とその周辺の地域などで標準地を選んでその正常な価格を公示することにより、次の役割を果たすことを目的としています(地価公示法1条)。

  • 一般の土地の取引価格に対して指標を与えること
  • 公共の利益となる事業に使う土地の適正な補償金の額の算定などに役立てること
  • これらを通じて、適正な地価の形成に寄与すること

地価公示の手続

誰が、どこで行うか

地価公示を行うのは、国土交通省に置かれる土地鑑定委員会です(地価公示法2条1項、12条1項)。対象となるのは「公示区域」内の標準地です。公示区域とは、都市計画区域と、都市計画区域以外で土地取引が相当程度見込まれる区域のうち、国土交通大臣が定める区域です(同法施行規則1条1項)。ただし、国土利用計画法の規制区域は除かれます(同法2条1項)。都市計画区域外でも公示区域になりうる点に注意しましょう。

標準地の選定

標準地は、土地鑑定委員会が、自然的・社会的条件からみて類似の利用価値を持つと認められる地域で、土地の利用状況や環境などが通常と認められる一団の土地について選定します(地価公示法3条)。施行規則では、土地の用途が同質と認められるまとまりのある地域で、利用状況・環境・地積・形状などがその地域で通常であると認められる土地を選ぶとされています(同法施行規則3条)。特別に条件のよい土地や悪い土地ではなく、その地域の「標準的な」土地を選ぶということです。

鑑定評価と価格の判定

土地鑑定委員会は、毎年1回、標準地について2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行って、基準日における標準地の単位面積あたりの正常な価格を判定し、公示します(地価公示法2条1項)。基準日は1月1日です(同法施行規則2条)。

不動産鑑定士は、標準地の鑑定評価を行うにあたり、次の3つを勘案しなければなりません(同法4条)。

  • 近くの類似する土地の取引価格から算定される推定の価格
  • 近くの類似する土地の地代などから算定される推定の価格
  • 同等の効用を持つ土地の造成に要する推定の費用の額

これは、次の章で学ぶ鑑定評価の3手法(取引事例比較法・収益還元法・原価法)の考え方に対応しています。鑑定評価を行った不動産鑑定士は、鑑定評価額などを記載した鑑定評価書を土地鑑定委員会に提出します(同法5条)。

官報での公示と閲覧

土地鑑定委員会は、正常な価格を判定したら、すみやかに次の事項を官報で公示します(地価公示法6条)。

  • 標準地の所在(郡・市・区・町村・字と地番)
  • 標準地の単位面積あたりの価格と価格判定の基準日
  • 標準地の地積と形状
  • 標準地とその周辺の土地の利用の現況
  • その他国土交通省令で定める事項(前面道路の状況、水道・ガス・下水道の整備状況、主要な交通施設との接近の状況、都市計画法などによる主要な制限など)(同法施行規則5条)

公示したあと、土地鑑定委員会は関係市町村の長に、公示した事項を記載した書面と標準地の所在を示す図面を送付し、市町村長はこれを事務所で一般の閲覧に供します(同法7条)。公示されるのは「単位面積あたり」の価格で、標準地全体の総額ではない点も確認しておきましょう。

「正常な価格」とは

正常な価格とは、土地について自由な取引が行われるとした場合に通常成立すると認められる価格です(地価公示法2条2項)。次の2点が重要です。

  • 土地に建物などの定着物がある場合や、地上権など土地の使用・収益を制限する権利がある場合でも、それらが存在しないものとして通常成立する価格を求めます。つまり、更地としての価格です。
  • 農地・採草放牧地・森林を、そのままの用途で取引する場合の取引は除かれます。農地などを宅地などにするための取引は含まれます。

たとえば、標準地の上に古い建物が建っていても、公示されるのは建物がないものとした土地の価格です。

公示価格の効力

公示価格がどのように使われるかは、相手によって言葉が使い分けられています。

  • 土地の取引を行う者:取引の対象土地に類似する利用価値を持つ標準地の公示価格を指標として取引を行うよう努めなければならない(努力義務)(地価公示法1条の2)。公示価格どおりに取引する義務はありません。
  • 不動産鑑定士:公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合に、その土地の正常な価格を求めるときは、公示価格を規準としなければならない(同法8条)。
  • 土地収用ができる事業を行う者:公示区域内の土地を事業のために取得する場合、取得価格を定めるときは、公示価格を規準としなければならない(同法9条)。
  • 収用する土地の補償金:土地収用法にもとづく補償金の算定では、公示価格を規準として算定した価格を考慮しなければならない(同法10条)。

「公示価格を規準とする」とは、対象の土地とこれに類似する1つ以上の標準地とを、位置・地積・環境など土地の客観的価値に影響する要因について比較し、その結果にもとづいて、標準地の公示価格と対象の土地の価格との間に均衡を保たせることをいいます(同法11条)。

土地鑑定委員会

土地鑑定委員会は、地価公示法と不動産の鑑定評価に関する法律にもとづく権限を行うため、国土交通省に置かれています(地価公示法12条1項)。委員は7人で、そのうち6人は非常勤です(同法14条)。委員は、不動産の鑑定評価や土地に関する制度について学識経験のある者の中から、両議院の同意を得て国土交通大臣が任命し、任期は3年です(同法15条1項・5項)。

委員会は、標準地の鑑定評価のために必要があると認めるときは、不動産鑑定士に対して標準地の鑑定評価を命ずることができます(同法25条1項)。命令を受けた不動産鑑定士が正当な理由なく鑑定評価を行わなかったり、鑑定評価書を提出しなかったりした場合は、過料の対象になります(同法29条)。

その他の規定

土地鑑定委員会の委員などは、標準地の選定や鑑定評価のために必要があれば、他人の占有する土地に立ち入ることができます。立ち入ろうとする日の3日前までに、土地の占有者に通知しなければなりません(地価公示法22条)。また、標準地の鑑定評価を行った不動産鑑定士には守秘義務があり、虚偽の鑑定評価や秘密の漏えいには罰則があります(同法24条・27条)。

数字・期間のまとめ

項目内容根拠
公示を行う者土地鑑定委員会(国土交通省に設置)地価公示法2条、12条
頻度毎年1回2条1項
基準日1月1日施行規則2条
鑑定評価2人以上の不動産鑑定士2条1項
公示する価格標準地の単位面積あたりの正常な価格2条1項、6条
公示の方法官報6条
土地への立入り3日前までに占有者へ通知22条2項
出典:e-Gov法令検索「地価公示法」「地価公示法施行規則」(2026年10月時点)

試験で問われやすいポイント

  • 公示区域は都市計画区域に限られず、土地取引が相当程度見込まれる区域も含みます。国土利用計画法の規制区域は除かれます。
  • 鑑定評価は「2人以上」の不動産鑑定士です。1人では足りません。
  • 正常な価格は、建物や地上権などが存在しないものとした価格です。
  • 一般の取引者は「指標として取引するよう努める」、不動産鑑定士は「規準としなければならない」と使い分けられています。
  • 公示は官報で行い、公示されるのは単位面積あたりの価格です。

まとめ

  • 地価公示は、土地鑑定委員会が毎年1回、1月1日時点の標準地の正常な価格を判定して官報で公示する制度です。
  • 標準地の鑑定評価は2人以上の不動産鑑定士が行い、取引価格・地代・造成費用の3つを勘案します。
  • 公示価格は、一般の取引では指標(努力義務)、鑑定評価や公共用地の取得では規準となります。

鑑定評価の手法は、次の章不動産の鑑定評価で詳しく学びます。

この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。

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