税・その他 第9章
住宅金融支援機構
この章では、5問免除の範囲で出題される「住宅金融支援機構」を学びます。機構は、民間の金融機関の住宅ローンを支える業務と、民間では対応しにくい分野で自ら融資する業務の両方を行っています。どの業務を行い、どの業務を行わないのか、業務を誰に委託できるのかが問われます。
機構の目的
独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」)は、次の業務を行うことで、住宅の建設などに必要な資金の円滑かつ効率的な融通を図ることを目的としています(独立行政法人住宅金融支援機構法4条)。
- 一般の金融機関による住宅資金の融通を支援するための、貸付債権の譲受けなどの業務
- 良質な住宅の建設などに必要な資金の調達などに関する情報の提供その他の援助の業務
- 一般の金融機関による融通を補完するための、災害復興建築物の建設などに必要な資金の貸付けの業務
つまり、住宅ローンの主役は民間の金融機関で、機構はそれを「支援」し、民間では難しい分野を「補完」するという位置づけです。
証券化支援業務
買取型
機構は、住宅の建設または購入に必要な資金について、民間の金融機関が行った貸付けの債権を譲り受けます(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項1号)。機構は、こうした業務の費用にあてるため、主務大臣の認可を受けて住宅金融支援機構債券を発行することができます(同法19条1項)。民間の金融機関が長期・固定金利の住宅ローンを提供できるよう支える仕組みです。
譲受けの対象には、住宅の建設や購入に付随する行為に必要な資金も含まれます。具体的には、住宅の建設に付随する土地または借地権の取得、住宅の購入に付随する土地もしくは借地権の取得、または購入した住宅の改良です(同法施行令5条1項)。法律上、購入する住宅を新築に限定していないため、中古住宅の購入資金も対象になりえます。
なお、住宅の改良(リフォーム)資金については、高齢者など居住の安定確保が特に必要な者として主務省令で定める者が、居住性能などの向上を主な目的として行うものに限って、買取りの対象とされています(同法13条1項1号)。
保証型
民間の金融機関が住宅ローン債権を信託するなどして証券化する場合に、住宅融資保険が付けられた貸付債権を担保とする債券について、機構が債務の保証を行います(同法13条1項2号)。
住宅融資保険と情報提供
- 住宅融資保険:金融機関の住宅ローンが返済されなくなった場合に備える保険を引き受けます(同法13条1項3号)。
- 情報の提供・相談:住宅の建設・購入・改良・移転をしようとする者や住宅関連の事業者に、資金の調達や良質な住宅の設計・建設などに関する情報の提供、相談その他の援助を行います(同項4号)。
機構が直接行う融資
機構は、民間の融資を補完するため、次のような分野で自ら資金の貸付けを行います(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項5号〜11号)。
- 災害で住宅が滅失した場合の代わりの建築物(災害復興建築物)の建設・購入、被災した建築物の補修
- 災害の防止・軽減のための建築物の建替え・移転、擁壁などの工事、地震に対する安全性の向上を主な目的とする住宅の改良
- 市街地の土地の合理的な利用に寄与する建築物の建設・購入、マンションの共用部分の改良
- マンションの再生等の円滑化に関する法律に定めるマンションの更新、更新後のマンションの購入
- 子どもを育成する家庭や高齢者の家庭に適した賃貸住宅の建設・改良
- 高齢者が自ら住む住宅のバリアフリー化などの改良、サービス付き高齢者向け住宅とするための住宅の購入
- 住宅のエネルギー消費性能の向上を主な目的とする改良
一般の個人が通常の住宅を買う資金を、機構が直接貸し付けるわけではない点に注意しましょう。一般の住宅ローンは民間の金融機関が貸し付け、機構は買取型・保証型でそれを支援します。
他の法律にもとづく業務
機構は、ほかの法律にもとづく業務も行います(独立行政法人住宅金融支援機構法13条2項)。たとえば、勤労者財産形成促進法にもとづく貸付け(財形住宅融資)、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく情報の提供その他の援助、マンションの再生等の円滑化に関する法律や住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律にもとづく貸付けなどです。
業務の全体像
| 区分 | 主な業務 | 根拠 |
|---|---|---|
| 民間の融資の支援 | 貸付債権の譲受け(買取型)、債券の債務保証(保証型)、住宅融資保険 | 機構法13条1項1号〜3号 |
| 情報提供・援助 | 資金調達や良質な住宅の設計・建設などに関する情報提供・相談 | 13条1項4号 |
| 民間の融資の補完(直接融資) | 災害復興・災害予防、合理的土地利用建築物、マンション共用部分の改良、マンションの更新、子育て・高齢者向け賃貸住宅、高齢者の住宅改良、省エネ改良など | 13条1項5号〜11号 |
| 団体信用生命保険 | 死亡・重度障害時の保険金などを債務の弁済にあてる | 13条1項12号 |
| 資金の調達 | 長期借入金、住宅金融支援機構債券の発行(主務大臣の認可) | 19条1項 |
金利や返済期間などの具体的な融資条件は、法律ではなく機構の業務方法書や商品ごとの規定で定められています。試験対策としては、まず法律に書かれている業務の範囲を確実に押さえましょう。
団体信用生命保険
機構は、譲り受けた債権の債務者や、機構から直接融資を受けた者とあらかじめ契約を結び、その者が死亡した場合(重度障害の状態になった場合を含みます)に支払われる生命保険の保険金などを、債務の弁済にあてる業務を行います(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項12号)。これを団体信用生命保険の業務といいます。
業務の委託
機構は、主務省令で定める金融機関、債権回収会社、地方公共団体などに、業務の一部を委託できます(独立行政法人住宅金融支援機構法16条1項)。委託できる業務は政令で定められており、金融機関には次のような業務を委託できます(同法施行令7条1項1号)。
- 譲り受けた貸付債権の元利金の回収など
- 直接融資の業務のうち、貸付けの決定を除いた業務
- 団体信用生命保険の業務のうち、生命保険契約の締結を除いた業務
貸付けの決定は機構自身が行い、委託できないという点が重要です。また、地方公共団体などには、貸付けに係る建築物の工事の審査などを委託できます(同項3号)。
試験で問われやすいポイント
- 機構の中心業務は、民間金融機関の住宅ローン債権の譲受け(買取型)と債務保証(保証型)による支援です。
- 買取りの対象には、住宅の建設・購入に付随する土地・借地権の取得資金も含まれます。
- 災害復興建築物の建設・購入や被災建築物の補修は、機構が直接融資します。
- マンションの共用部分の改良や、子育て・高齢者世帯向け賃貸住宅の建設も直接融資の対象です。
- 業務を金融機関に委託できても、貸付けの決定は委託できません。
まとめ
- 機構は民間の住宅ローンを「支援」し、民間では難しい分野を「補完」する独立行政法人です。
- 証券化支援業務には、債権を譲り受ける買取型と、債券の債務を保証する保証型があります。
- 災害復興・災害予防・マンション共用部分の改良・子育て高齢者向け賃貸住宅などは直接融資の対象です。
- 団体信用生命保険の業務も行い、業務の委託はできても貸付けの決定は委託できません。
5問免除の範囲については、5問免除(登録講習)とはもあわせてご覧ください。
この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。