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税・その他 第4章

印紙税

この章では、契約書や領収書などの文書を作ったときにかかる「印紙税」を学びます。宅建試験では、どの文書が課税されるか、契約書の「記載金額」をどう決めるか、印紙を貼らなかったときの過怠税がよく問われます。具体的な文書をイメージしながら読むと理解しやすい分野です。

印紙税の基本

印紙税は、印紙税法の別表第一に掲げられた文書(課税文書)に課される国税です(印紙税法2条)。納税義務者は課税文書の作成者で、1つの文書を2人以上で共同して作成した場合は、連帯して納める義務を負います(同法3条)。たとえば売主Aと買主Bが売買契約書を2通作り、それぞれが1通ずつ保管する場合は、2通とも課税文書です。

「契約書」には、名称にかかわらず、契約の成立や変更・補充を証明するための文書が広く含まれます。念書や請書のように当事者の一方だけが作る文書でも、契約の成立を証明するものであれば契約書にあたります(印紙税法別表第一 課税物件表の適用に関する通則5)。

不動産取引で問題になる課税文書

  • 第1号文書:不動産の譲渡に関する契約書(売買契約書・交換契約書など)、地上権または土地の賃借権の設定・譲渡に関する契約書、金銭消費貸借契約書など
  • 第2号文書:請負に関する契約書(建物の建築工事請負契約書など)
  • 第17号文書:金銭または有価証券の受取書(領収書)

建物の賃貸借契約書は別表第一に掲げられていないため、印紙税はかかりません。一方、土地の賃貸借契約書は「土地の賃借権の設定に関する契約書」として第1号文書にあたります。

記載金額の決め方

税額は、契約書に記載された契約金額(記載金額)で決まります。代表的なルールは次のとおりです(印紙税法別表第一の通則4、印紙税法基本通達23条・30条)。

  • 売買:売買金額。時価が別に書かれていても、売買金額が記載金額です。
  • 交換:双方の価額が書かれていれば高い方の金額、交換差金だけが書かれていれば交換差金の額です。
  • 贈与:対価がないので「契約金額の記載のない契約書」として扱います。第1号文書なら税額は200円です。
  • 土地の賃貸借:権利金など、後日返還されない金額が記載金額です。賃料や、返還される予定の敷金・保証金は含みません。
  • 同じ文書に複数の金額:同じ号の金額は合計します。たとえば土地と建物の売買金額は合計した額が記載金額です。
  • 手付金の額:契約書に書かれた手付金の額は、契約金額ではないので記載金額になりません。

変更契約書

契約金額を変更する契約書で、変更前の契約書が作られていることが明らかな場合は、増額する変更なら増加額が記載金額になり、減額する変更なら「記載金額のない契約書」になります(通則4ニ)。たとえば、売買金額5,000万円の契約を5,500万円に増額する変更契約書の記載金額は500万円です。

消費税額の区分記載と、2つの号にあたる文書

第1号・第2号・第17号文書で、消費税額等が区分して記載されている場合や、税込価格と税抜価格の両方が書かれていて消費税額等が明らかな場合は、消費税額等は記載金額に含めません(国税庁タックスアンサーNo.7124)。また、不動産の売買と建物の請負の両方を内容とする契約書は、原則として第1号文書ですが、金額を区分でき、請負の金額の方が大きいときは第2号文書になります(通則3ロ)。

税額と軽減措置

不動産の譲渡に関する契約書(記載金額10万円超)と建設工事の請負に関する契約書(記載金額100万円超)は、2027年3月31日までに作成されるものについて税額が軽減されています(租税特別措置法91条)。主な金額は次のとおりです。

記載金額(不動産の譲渡に関する契約書)本則軽減後
1万円未満非課税非課税
1万円以上10万円以下200円200円(軽減なし)
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円
記載金額のないもの200円200円
出典:e-Gov法令検索「印紙税法」別表第一、「租税特別措置法」91条、国税庁タックスアンサーNo.7108(2026年10月時点)

軽減の対象は第1号文書のうち「不動産の譲渡に関する契約書」だけです。土地の賃貸借契約書や金銭消費貸借契約書は、同じ第1号文書でも軽減されません。

非課税になる文書

  • 第1号・第2号文書で、記載金額が1万円未満のもの(印紙税法別表第一)
  • 売上代金の受取書で、受取金額が5万円未満のもの(同表第17号)
  • 営業に関しない受取書(同表第17号)。たとえば、会社員Aが自宅を売って代金を受け取ったときにAが作る領収書は、営業に関しないものなので非課税です。
  • 国や地方公共団体などが作成した文書(同法5条2号)

国などと民間の者が共同で作成した文書は、国などが保存するものは民間の者が作成したものとみなし、民間の者が保存するものは国などが作成したものとみなします(印紙税法4条5項)。つまり、民間の者が保存する方は非課税、国などが保存する方は課税文書になります。

納付方法と過怠税

印紙税は、課税文書の作成の時までに印紙を貼り付け、文書と印紙の彩紋にかけて判明に消すこと(消印)で納付します(印紙税法8条)。印紙を貼らなかったり、消印をしなかったりした場合は、次の過怠税が課されます(同法20条)。

  • 印紙を貼らなかった場合:納付しなかった税額とその2倍の合計額(つまり税額の3倍)
  • 調査を受ける前に自主的に申し出た場合:納付しなかった税額とその10%の合計額(1.1倍)
  • 消印をしなかった場合:消されていない印紙の額面金額に相当する額
  • 過怠税の合計額が1,000円に満たないときは1,000円(自主的な申出による1.1倍の過怠税だけの場合を除く)

なお、印紙を貼らなくても契約そのものの効力には影響しません。また、委任を受けた代理人が代理人名義で作成した文書は、その代理人が作成者になります(印紙税法基本通達43条)。

数字・期間のまとめ

項目内容根拠
不動産譲渡契約書・建設工事請負契約書の軽減2027年3月31日までに作成されるもの租税特別措置法91条
契約書の非課税記載金額1万円未満(第1号・第2号)印紙税法別表第一
受取書の非課税受取金額5万円未満、営業に関しないもの同表第17号
記載金額のない契約書200円同表第1号・第2号
過怠税不貼付は3倍、自主申出は1.1倍、消印なしは額面相当額印紙税法20条
出典:e-Gov法令検索「印紙税法」「租税特別措置法」、国税庁「印紙税法基本通達」(2026年10月時点)

試験で問われやすいポイント

  • 交換契約書は高い方の価額、交換差金のみの記載なら差金の額が記載金額です。
  • 贈与契約書は「記載金額のない契約書」で200円です。非課税ではありません。
  • 減額の変更契約書は「記載金額のない契約書」として課税されます。
  • 建物の賃貸借契約書は課税されませんが、土地の賃貸借契約書は課税されます。敷金は記載金額に含めません。
  • 個人が自宅を売って受け取る代金の領収書は、営業に関しない受取書なので非課税です。
  • 過怠税は3倍が原則、自主的に申し出れば1.1倍です。

まとめ

  • 印紙税は課税文書の作成者が納める国税で、共同作成者は連帯して納付します。
  • 税額は記載金額で決まり、交換・贈与・変更契約などには独自のルールがあります。
  • 不動産譲渡契約書は2027年3月31日まで軽減されています。期限は延長されることがあるので最新情報で確認しましょう。
  • 貼り忘れは3倍、自主申出なら1.1倍、消印漏れは額面相当額の過怠税です。

この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。

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