税・その他 第2章
固定資産税
この章では、土地や建物を持っている限り毎年かかる「固定資産税」を学びます。前の章の不動産取得税は取得したときに一度だけかかる税でしたが、固定資産税は保有に対して毎年かかる点が大きな違いです。誰が納めるのか、住宅用地や新築住宅の特例、価格に不服があるときの手続が頻出です。
固定資産税の基本
固定資産税は、土地・家屋・償却資産(事業用の機械など)をまとめた「固定資産」に対して、市町村が課す地方税です(地方税法341条1号、343条1項)。宅建試験では、主に土地と家屋の扱いが問われます。
納税義務者は1月1日の所有者
固定資産税の賦課期日(課税する基準となる日)は、その年度の初日が属する年の1月1日です(地方税法359条)。納税義務者は、その時点で登記簿または土地補充課税台帳・家屋補充課税台帳に所有者として登記・登録されている人です(同法343条2項)。
たとえば、AがBに3月に土地を売った場合でも、その年度の固定資産税は1月1日の所有者であるAに課されます。売買契約で「引渡し日以後の分は買主が負担する」と日割りで精算することはよくありますが、それは当事者どうしの取決めにすぎず、市町村に対する納税義務者がBに変わるわけではありません。
例外として、質権の目的である土地や、存続期間が100年より長い地上権の目的である土地については、所有者ではなく質権者・地上権者が納税義務者になります(同法343条1項)。また、災害などで所有者の所在が分からない場合や、相当な努力をしても所有者が分からない場合は、使用者を所有者とみなして課税できます(同条4項・5項)。
課税標準と税率
土地と家屋の課税標準は、固定資産課税台帳に登録された価格です(地方税法349条)。価格は「適正な時価」をいいます(同法341条5号)。土地と家屋は3年ごとの基準年度に評価替えを行い、原則として次の2年度はその価格を据え置きます。ただし、地目の変換や家屋の改築・損壊などの特別な事情があるときは、2年度目・3年度目でも価格を見直します(同法349条2項・3項)。
標準税率は1.4%です(同法350条1項)。市町村は条例で別の税率を定めることもできます。また、1人の納税義務者の課税標準の総額が市町村全体の3分の2を超える場合に、1.7%を超える税率を定める条例をつくるときは、議会でその納税義務者の意見を聴くことになっています(同条2項)。
免税点
同じ人がその市町村内に持っている土地・家屋・償却資産のそれぞれの課税標準の合計額が、一定額に満たないときは、固定資産税は課されません(地方税法351条)。2026年10月時点の免税点は、土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円です。ただし、財政上特別の必要があれば、条例で免税点未満でも課税できます。
この免税点は2027年4月1日に改正され、令和9年度(2027年度)分から、土地と家屋が30万円、償却資産が180万円になります(令和8年法律第2号による改正)。家屋の免税点が20万円から30万円に上がる点が変わります。2027年度以降の試験では新しい数字で覚えておきましょう。
住宅用地の課税標準の特例
人が住むための家屋の敷地(住宅用地)は、課税標準が軽減されます(地方税法349条の3の2)。
- 小規模住宅用地:住宅1戸につき200平方メートルまでの部分は、価格の6分の1
- 一般住宅用地:200平方メートルを超える部分は、価格の3分の1
たとえば、1戸建ての敷地が300平方メートルなら、200平方メートル分が6分の1、残り100平方メートル分が3分の1になります。アパートのように住居が複数ある場合は、「200平方メートル×住居の数」までが小規模住宅用地です。なお、住宅用地として扱われる土地の面積は、家屋の床面積の10倍までです(地方税法施行令52条の11第2項)。
空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづいて、特定空家等や管理不全空家等の所有者に勧告が出された場合、その敷地はこの特例の対象から外れます(地方税法349条の3の2第1項)。
新築住宅の税額の減額
新築された住宅は、新たに固定資産税がかかることになった年度から一定期間、税額が2分の1に減額されます(地方税法附則15条の6)。減額の対象は、居住部分の床面積120平方メートルまでに相当する部分です(同法施行令附則12条4項)。
- 一般の新築住宅:3年度分(2031年3月31日までに新築されたもの)
- 地上階数3以上の耐火・準耐火建築物(中高層耐火建築物):5年度分
- 認定長期優良住宅:一般は5年度分、中高層耐火建築物は7年度分(同法附則15条の7)
床面積の要件は、2026年4月1日以後に新築された住宅(令和9年度分以後)については原則40平方メートル以上240平方メートル以下です。それより前に新築された住宅は、従前の要件(原則50平方メートル以上280平方メートル以下)が適用されます(令和8年政令第83号附則6条3項)。この特例は土地ではなく家屋の税額を減らすものである点に注意しましょう。
価格の確認と不服申立て、納め方
- 縦覧:納税者が自分の土地・家屋の価格を市町村内の他の土地・家屋と比べられるように、市町村長は毎年4月1日から、4月20日または最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、縦覧帳簿を縦覧に供します(地方税法416条1項)。
- 閲覧:納税義務者などは、固定資産課税台帳のうち自分の資産に関する部分を閲覧できます(同法382条の2)。
- 審査の申出:台帳に登録された価格に不服がある納税者は、原則として納税通知書の交付を受けた日後3か月を経過する日までに、文書で固定資産評価審査委員会に審査の申出ができます(同法432条1項)。
- 納期と徴収方法:納期は4月・7月・12月・2月中で、市町村の条例で定めます。特別な事情があれば別の納期も定められます(同法362条1項)。徴収は普通徴収です(同法364条1項)。
都市計画税
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用にあてるため、原則として市街化区域内の土地・家屋の所有者に市町村が課すことができる税です(地方税法702条1項)。固定資産税とあわせて徴収されることが多い税です。税率は0.3%を超えることができません(同法702条の4)。住宅用地については、小規模住宅用地は課税標準が3分の1、それ以外の住宅用地は3分の2になります(同法702条の3)。固定資産税の6分の1・3分の1と数字が異なるので区別しましょう。
数字・期間のまとめ
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 賦課期日 | 1月1日 | 地方税法359条 |
| 標準税率 | 1.4% | 350条 |
| 免税点(2026年度分) | 土地30万円、家屋20万円、償却資産150万円 | 351条 |
| 免税点(2027年度分から) | 土地・家屋30万円、償却資産180万円 | 351条(2027年4月1日施行) |
| 住宅用地の特例 | 200平方メートル以下の部分は6分の1、超える部分は3分の1 | 349条の3の2 |
| 新築住宅の減額 | 120平方メートル分まで税額2分の1。3年度分(中高層耐火は5年度分)、2031年3月31日までの新築 | 附則15条の6、施行令附則12条 |
| 審査の申出 | 納税通知書の交付を受けた日後3か月以内に固定資産評価審査委員会へ | 432条 |
| 都市計画税 | 税率は0.3%以下。住宅用地は3分の1(200平方メートル以下)・3分の2 | 702条の3、702条の4 |
試験で問われやすいポイント
- 年の途中で売買しても、その年度の納税義務者は1月1日の所有者です。日割り精算は当事者間の約束にすぎません。
- 質権者や、100年を超える地上権の地上権者は、所有者に代わって納税義務者になります。
- 住宅用地の特例は「200平方メートル以下の部分が6分の1」。都市計画税の3分の1と混同しないようにしましょう。
- 新築住宅の減額は家屋の税額に対するもので、床面積120平方メートルまでの部分が2分の1になります。
- 価格の不服は固定資産評価審査委員会への審査の申出で争います。
- 家屋の免税点は2027年度分から30万円に上がります。
まとめ
- 固定資産税は、1月1日の所有者に市町村が毎年課す税で、標準税率は1.4%です。
- 課税標準は台帳の登録価格で、3年ごとに評価替えをします。
- 住宅用地は6分の1・3分の1、新築住宅は120平方メートル分の税額が3年度(または5年度)2分の1になります。
- 免税点は2027年度分から土地・家屋30万円、償却資産180万円に変わります。
取得時にかかる税は不動産取得税の章で確認できます。
この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。