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税・その他 第3章

登録免許税

この章では、不動産の登記を受けるときにかかる「登録免許税」を学びます。登記の種類ごとの税率と、住宅用家屋の軽減税率の要件が出題の中心です。特に、軽減税率が使える人・家屋・登記の原因についての細かい要件がひっかけになりやすい分野です。

登録免許税の基本

登録免許税は、登記・登録・免許などを受けるときに課される国税です(登録免許税法2条)。納税義務者は登記を受ける者で、2人以上が登記を受けるときは連帯して納付する義務を負います(同法3条)。たとえば、売主Aと買主Bが共同で所有権移転登記を申請する場合、AとBは連帯して納税義務を負います。

国や一定の公共法人が自分のために受ける登記は非課税です(同法4条)。また、税額の計算のもとになる表は同法の別表第一に定められており、建物を新築したときの表題登記のように、この表に掲げられていない登記には登録免許税はかかりません。

課税標準

  • 所有権の保存・移転など:登記の時の不動産の価額です(登録免許税法10条1項)。当分の間は、固定資産課税台帳に登録された価格を基礎とした額によることができます(同法附則7条)。実際の売買代金ではありません。
  • 地上権や抵当権などが付いている不動産:それらの権利がないものとした場合の価額で計算します(同法10条1項)。
  • 持分の取得:不動産の価額に持分の割合を掛けた額です(同条2項)。
  • 抵当権の設定:債権金額です(極度額が定められる根抵当権は極度金額)(同法別表第一第1号(5))。
  • 登記の抹消・付記登記など:不動産1個につき1,000円の定額です(同法別表第一第1号(14)(15))。

本則の税率

登記の種類課税標準税率
所有権の保存不動産の価額0.4%
所有権の移転(売買・贈与・交換など)不動産の価額2%
所有権の移転(相続・法人の合併)不動産の価額0.4%
所有権の移転(共有物の分割)不動産の価額0.4%
地上権・賃借権の設定不動産の価額1%
抵当権の設定債権金額0.4%
登記の抹消不動産の個数1個につき1,000円
出典:e-Gov法令検索「登録免許税法」別表第一第1号(2026年10月時点)

相続による移転には、相続人に対する遺贈も含みます(登録免許税法17条1項の表)。相続人以外の人への遺贈や贈与は「その他の原因による移転」として2%です。

計算のイメージ

法人Cが事務所用の土地(固定資産課税台帳の価格5,000万円)を売買で取得し、所有権移転登記を受けるとします。土地の売買の軽減税率1.5%が使えるので、登録免許税は5,000万円×1.5%=75万円です。もし同じ土地を贈与で取得したのであれば、軽減の対象外なので5,000万円×2%=100万円になります。

次に、個人Dが銀行から3,000万円を借りて自宅を新築し、その建物に抵当権を設定する場合を考えます。抵当権設定登記の課税標準は建物の価額ではなく債権金額の3,000万円です。住宅用家屋の要件を満たし、新築後1年以内に登記すれば税率は0.1%となり、3万円です。要件を満たさなければ本則の0.4%で12万円です。

仮登記にもとづく本登記

売買予約などで所有権移転の仮登記をしておき、後で本登記をする場合は、仮登記のときに一部を納めているため、本登記の税率は本則から一定の割合を差し引いた率になります(登録免許税法17条1項)。たとえば、軽減の対象にならない建物(事務所など)の売買による所有権移転の仮登記は1%で(同法別表第一第1号(12))、その本登記のときは本則の2%から1%を差し引いた率で計算します。

軽減税率

土地の売買による所有権移転登記

土地の売買による所有権の移転登記は、2029年3月31日までに受けるものについて、税率が2%から1.5%に軽減されています(租税特別措置法72条1項1号)。この軽減は個人・法人を問わず、用途も問いません。土地の贈与や交換は対象外です。

住宅用家屋の軽減

個人が自分の住宅として使う家屋については、次の軽減税率があります。いずれも2027年3月31日までの新築・取得が対象です。

  • 所有権の保存登記:0.4%→0.15%(租税特別措置法72条の2)
  • 売買などによる所有権の移転登記:2%→0.3%(同法73条)
  • 住宅取得資金の貸付けなどに係る抵当権の設定登記:0.4%→0.1%(同法75条)
  • 認定長期優良住宅・認定低炭素住宅:保存登記は0.1%、移転登記は0.1%(長期優良住宅の一戸建ての移転は0.2%)(同法74条・74条の2)

住宅用家屋の軽減の要件

  • 個人であること:法人が取得した家屋には適用されません。
  • 自分の居住用であること:個人が自分で住むための家屋に限られます。賃貸用は対象外です。
  • 床面積が50平方メートル以上:区分所有建物は、専有部分の床面積で判定します(租税特別措置法施行令41条)。上限はありません。
  • 新築または取得後1年以内に登記すること(租税特別措置法72条の2・73条)
  • 中古住宅の移転登記は耐震基準を満たすこと:1982年1月1日以後に建築されたもの、または耐震基準に適合するものに限られます(同法施行令42条1項)。
  • 移転登記の原因は売買か競落に限られる:贈与や相続による移転には、移転登記の軽減税率は使えません(同法施行令42条3項)。
  • 市町村長などの証明:その家屋が要件に当たることについて、所在地の市町村長などの証明を受けます(同法施行令41条・42条)。

たとえば、会社員Aが中古マンション(専有部分60平方メートル、2000年築)を売買で買い、自分で住む場合は、取得後1年以内に登記すれば移転登記が0.3%になります。同じ物件をAが親から贈与で取得した場合は、2%の本則税率です。

納付の方法

登録免許税は、原則として現金で国に納付し、その領収証書を登記の申請書に貼り付けて提出します(登録免許税法21条)。税額が3万円以下の場合などは、印紙を申請書に貼り付けて納付することもできます(同法22条)。納税地は、登記の事務を行う登記所の所在地です(同法8条1項)。

数字・期間のまとめ

軽減の対象本則軽減税率期限
土地の売買による所有権移転2%1.5%2029年3月31日まで(措置法72条)
住宅用家屋の所有権保存0.4%0.15%2027年3月31日まで(措置法72条の2)
住宅用家屋の所有権移転(売買・競落)2%0.3%2027年3月31日まで(措置法73条)
住宅取得資金の抵当権設定0.4%0.1%2027年3月31日まで(措置法75条)
住宅用家屋の要件(参考)―床面積50平方メートル以上(上限なし)新築・取得後1年以内に登記
出典:e-Gov法令検索「登録免許税法」「租税特別措置法」「租税特別措置法施行令」(2026年10月時点)。期限付きの特例は税制改正で延長されることが多いため、受験年度の最新情報で確認してください。

試験で問われやすいポイント

  • 住宅用家屋の軽減は個人だけです。法人が取得した場合は適用されません。
  • 床面積の要件は50平方メートル以上で、上限はありません。不動産取得税(40〜240平方メートル)と混同しないようにしましょう。
  • 移転登記の軽減は売買・競落による取得に限られ、贈与・相続は対象外です。
  • 課税標準は台帳の価格が基礎で、売買代金ではありません。抵当権の設定は債権金額が課税標準です。
  • 売主と買主が共同で登記を受けるときは、連帯して納税義務を負います。

まとめ

  • 登録免許税は登記を受ける者が納める国税で、共同で登記を受ける者は連帯して納付します。
  • 本則税率は保存0.4%、売買などの移転2%、相続による移転0.4%、抵当権設定0.4%です。
  • 住宅用家屋は保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%に軽減されます。要件は個人・自己居住・50平方メートル以上・1年以内の登記です。

登記の仕組みそのものは、権利関係の不動産登記法の章で学べます。

この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。

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