税・その他 第11章
土地の基礎知識
この章では、5問免除の範囲で出題される「土地」の基礎知識を学びます。地形ごとに、宅地として使いやすいか、どんな災害に注意が必要かが問われます。法令ではなく一般的な知識の分野なので、地形がどうやってできたかをイメージすると、理由とセットで覚えやすくなります。
地形を見るときの基本的な考え方
宅地としての適否は、主に「地盤が固いか」「水はけがよいか」「洪水・土砂災害・地震のときに被害を受けやすいか」で判断します。一般に、古い時代にできた高い土地は地盤が安定していることが多く、新しい時代に川や海の堆積でできた低い土地は、やわらかい地盤で水がたまりやすい傾向があります。ただし、同じ地形の中でも場所によって条件は異なるため、「一般的にはこうだが、こういう場所は注意」という形で理解しておきましょう。
山地・丘陵地・台地
- 台地・段丘:周囲より一段高い平坦な土地です。一般に水はけがよく、地盤も比較的安定しているため、宅地に適しているとされます。洪水の被害も受けにくい地形です。
- 台地の縁(へり):台地の端の崖や急斜面の近くは、がけ崩れのおそれがあります。
- 台地上の浅い谷:台地の中に刻まれた浅い谷は、周囲から水が集まりやすく、やわらかい土が堆積していることがあります。豪雨時の浸水や地盤の沈下に注意が必要です。
- 丘陵地・山麓:丘陵地を造成した宅地では、切土(もとの地盤を削った部分)より盛土(土を盛った部分)の方が、地盤沈下や地震時の崩壊のおそれが大きいとされます。切土と盛土にまたがる宅地は、不同沈下(建物が不均一に沈むこと)が起こりやすくなります。
- 崖錐(がいすい)・土石流の堆積地:山の斜面の下に崩れた土砂がたまった場所は、地盤が不安定で、再び崩れたり土石流に見舞われたりするおそれがあります。
- 地すべり地:過去に地すべりが起きた土地は、緩やかな斜面になっていることがあり、一見住みやすく見えます。再び動くおそれがあるため注意が必要です。
低地
低地は、一般に洪水や地震(液状化など)に弱く、宅地としては注意が必要な地形です。ただし、低地の中にも比較的条件のよい場所があります。
- 扇状地:川が山地から平地に出るところに砂や礫(小石)が扇形に堆積した地形です。水はけがよく地盤も比較的良好ですが、谷の出口に近い場所では土石流や急な出水(鉄砲水)に注意が必要です。
- 自然堤防:川があふれたときに運ばれた砂などが川沿いに積もってできた、周囲よりわずかに高い土地です。砂質で水はけがよく、低地の中では比較的宅地に適しています。
- 後背湿地:自然堤防の背後に広がる低い土地です。泥などのやわらかい土が堆積し、水はけが悪いため、浸水しやすく地盤も軟弱です。
- 旧河道:昔の川の流れの跡です。周囲より低く、地盤がやわらかいことが多いため、浸水や地震時の液状化に注意が必要です。
- 三角州・海岸近くの低地:川の河口付近にできた低く平らな土地で、地盤が軟弱なことが多く、洪水や高潮、地震時の揺れや液状化に注意が必要です。
埋立地と干拓地
どちらも海や湖などを陸地にした土地ですが、つくり方が違います。埋立地は、海などに土砂を入れて陸地にした土地で、地盤面は一般に海面より高くつくられます。干拓地は、海や湖を堤防で仕切り、中の水を排水して陸地にした土地で、地盤面が海面より低いことがあります。そのため、一般に干拓地は埋立地よりも浸水の危険が大きいとされます。また、どちらも地盤がやわらかいことが多く、埋立地は地震時の液状化に注意が必要です。
液状化
液状化とは、地震の揺れによって、水を多く含んだ砂の地盤が液体のような状態になる現象です。建物が傾いたり沈んだり、地中の管が浮き上がったりする被害が出ます。一般に、地下水位が高く、ゆるく堆積した砂の地盤で起こりやすく、埋立地、旧河道、海岸や川沿いの低地などが注意の必要な場所です。
等高線と地形図の読み方
- 等高線の間隔が狭いところは傾斜が急で、広いところは傾斜が緩やかです。
- 等高線が標高の低い方へ張り出している部分は尾根、標高の高い方へ入り込んでいる部分は谷です。
- 谷の出口付近は、大雨のときに水や土砂が集まりやすい場所です。
実務では、市町村などが作成するハザードマップで、洪水・土砂災害・津波などの想定を確認することが大切です。宅建業法でも、水防法にもとづく水害ハザードマップにおける物件の所在地の説明が、重要事項説明の項目になっています(宅建業法施行規則16条の4の3第3号の2)。盛土などの規制については、法令上の制限の盛土規制法の章で学べます。
造成地と擁壁
丘陵地や斜面を造成した宅地では、高低差のある部分を擁壁(土が崩れないように支える壁)で支えていることがよくあります。擁壁の背後に雨水がたまると、水の圧力で擁壁が押され、崩壊の原因になります。そのため、擁壁には水抜き穴を設けて背後の水を排出することが重要で、水抜き穴が詰まっていないか、擁壁にひび割れやふくらみがないかを確認することが大切です。
また、谷を埋めて造成した盛土の宅地は、大きな地震のときに盛土全体が滑り出すなどの被害を受けることがあります。古い地形図や空中写真と見比べて、もとの地形を確認する方法も有効です。
地形ごとの特徴のまとめ
| 地形 | 宅地としての一般的な評価 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 台地・段丘 | 水はけがよく地盤も比較的安定 | 縁の崖付近、台地上の浅い谷 |
| 丘陵地の造成地 | 切土部分は比較的安定 | 盛土部分の沈下・崩壊、切土と盛土の境目の不同沈下 |
| 扇状地 | 水はけがよく比較的良好 | 谷の出口付近の土石流・鉄砲水 |
| 自然堤防 | 低地の中では比較的良好 | 大規模な洪水 |
| 後背湿地・旧河道 | 地盤が軟弱で水はけが悪い | 浸水、地盤沈下、液状化 |
| 三角州・海岸低地 | 地盤が軟弱 | 洪水、高潮、液状化 |
| 埋立地 | 地盤面は一般に海面より高い | 液状化 |
| 干拓地 | 地盤面が海面より低いことがある | 浸水 |
試験で問われやすいポイント
- 台地・段丘は一般に宅地に適していますが、縁の崖付近や台地上の浅い谷は注意が必要です。
- 自然堤防は低地の中では比較的良好、後背湿地は軟弱で浸水しやすい土地です。
- 旧河道は軟弱で、浸水や液状化に注意が必要です。
- 干拓地は海面より低いことがあり、一般に埋立地より浸水の危険が大きいとされます。
- 造成地では、切土部分より盛土部分の方が沈下や崩壊のおそれが大きくなります。
- 等高線が低い方へ張り出すのが尾根、高い方へ入り込むのが谷です。
まとめ
- 一般に、高く古い地形(台地・段丘)は宅地に適し、低く新しい地形(後背湿地・旧河道・三角州など)は注意が必要です。
- 同じ地形でも、台地の縁や谷、扇状地の谷の出口などには災害リスクがあります。
- 埋立地・旧河道などの砂地盤は液状化、干拓地は浸水に注意します。
- 等高線の間隔や形から、傾斜の急さや尾根・谷を読み取れるようにしましょう。
この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。