税・その他 第12章
建物の基礎知識
この章では、5問免除の範囲で出題される「建物」の基礎知識を学びます。建物の構造ごとの長所と弱点、地震への備え方、基礎の種類が問われます。前の章の「土地」と同じく一般的な知識の分野なので、材料の性質から理由を考えると覚えやすくなります。
木造
木造は、軽くて加工しやすく、日本の戸建住宅で広く使われている構造です。一方で、湿気による腐朽やシロアリの被害を受けやすく、火にも弱いという弱点があります。
- 乾燥の程度:木材は、含水率が低い(よく乾燥している)方が強度が高くなります。
- 心材と辺材:丸太の中心に近い心材は、外側の辺材に比べて腐朽やシロアリに強いとされます。
- 火への強さ:断面の大きい木材は、火災時に表面が焦げて炭化層ができ、内部まで燃えるのに時間がかかります。
- 集成材:薄い板を接着して重ねた木材で、品質が安定しており、大きな断面や長い部材をつくることができます。
工法には、柱と梁で骨組みをつくる在来軸組工法と、枠組みに構造用の面材を張って壁や床をつくる枠組壁工法(ツーバイフォー工法)などがあります。在来軸組工法では、地震や風の力に抵抗するため、筋かいなどを入れた耐力壁を、建物全体にバランスよく配置することが大切です。
鉄骨造
鉄骨造(S造)は、柱や梁に鋼材を使う構造です。鋼材は強度が高く粘り強いため、大きな空間や高い建物をつくりやすいのが長所です。一方で、次の弱点があります。
- 熱に弱い:鋼材は燃えませんが、高温になると強度が大きく低下します。そのため、耐火性を確保するには耐火被覆が必要です。
- さびやすい:さびると強度が落ちるため、防錆処理が必要です。
鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造(RC造)は、鉄筋とコンクリートを組み合わせて、互いの弱点を補う構造です。
- コンクリートは圧縮される力には強いものの、引っ張られる力には弱い材料です。引張力には強い鉄筋がこれを補います。
- 鉄筋とコンクリートは、温度による伸び縮みの割合(熱膨張率)がほぼ同じなので、一体として働くことができます。
- コンクリートはアルカリ性で、中の鉄筋がさびるのを防いでいます。年月とともにコンクリートが中性化すると、鉄筋がさびやすくなります。
- 耐火性・耐久性に優れていますが、建物が重くなるため、地盤や基礎への負担が大きくなります。
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、鉄骨の周りに鉄筋を配置してコンクリートを打ち込んだ構造です。鉄骨造の粘り強さと鉄筋コンクリート造の耐火性・剛性をあわせ持ち、高層の建物などに用いられます。
構造形式
- ラーメン構造:柱と梁を一体化(剛接合)した骨組みで建物を支える構造です。壁の配置の自由度が高く、大きな開口部を設けやすい形式です。
- 壁式構造:柱や梁を使わず、壁と床(スラブ)で建物を支える構造です。中低層の集合住宅などで用いられます。構造上必要な壁を自由に取り除くことはできません。
- トラス構造:部材を三角形に組み合わせた骨組みです。体育館の屋根など、柱のない大きな空間をつくるのに用いられます。
耐震・制震・免震
地震への備え方には、大きく3つの考え方があります。
- 耐震:柱・梁・壁などを強くして、建物そのものの強さで地震の力に耐える考え方です。
- 制震(制振):建物の中にダンパーなどの装置を組み込み、地震の揺れのエネルギーを吸収して揺れを小さくする考え方です。
- 免震:建物と基礎の間などに積層ゴムなどの免震装置を入れ、地面の揺れを建物に伝わりにくくする考え方です。
現在の耐震基準(いわゆる新耐震基準)は、1981年6月1日に施行された建築基準法施行令の改正によるものです。それより前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準で建てられている可能性があり、宅建業法の重要事項説明でも、1981年6月1日より前に新築の工事に着手した建物について耐震診断を受けているときは、その内容を説明することになっています(宅建業法施行規則16条の4の3第5号)。
基礎
基礎は、建物の重さを地盤に伝える部分です。大きく分けて、浅い位置の地盤で建物を支える直接基礎と、杭を深い地盤まで届かせて支える杭基礎があります。
- 独立基礎:柱の下ごとに独立して設ける基礎(直接基礎)
- 布基礎:壁の下に沿って連続して設ける基礎(直接基礎)
- べた基礎:建物の下全体を鉄筋コンクリートの板で支える基礎(直接基礎)。建物の重さを広い面で地盤に伝えます。
- 杭基礎:表層の地盤がやわらかく、建物を支える固い地盤(支持層)が深い場合に用います。
1つの建物に異なる種類の基礎を併用すると、沈み方に差が出て不同沈下の原因になりやすくなります。そのため建築基準法施行令では、建築物に異なる構造方法による基礎を併用してはならないとしています。ただし、国土交通大臣が定める基準による構造計算で安全が確かめられた場合は例外です(建築基準法施行令38条2項・4項)。
劣化を防ぐための規定
建物を長持ちさせるため、建築基準法施行令には材料の劣化を防ぐ規定があります。
- 木造の防腐・防蟻:構造耐力上主要な柱・筋かい・土台のうち、地面から1メートル以内の部分には有効な防腐措置を講じ、必要に応じてシロアリなどの害を防ぐ措置を講じなければなりません(建築基準法施行令49条2項)。
- 鉄筋のかぶり厚さ:鉄筋を覆うコンクリートの厚さ(かぶり厚さ)は、耐力壁以外の壁・床は2センチメートル以上、耐力壁・柱・梁は3センチメートル以上、直接土に接する壁・柱・床・梁や布基礎の立上り部分は4センチメートル以上、基礎(布基礎の立上り部分を除く)は捨コンクリートの部分を除いて6センチメートル以上とされています(同令79条1項)。かぶり厚さを確保することで、鉄筋がさびるのを防ぎます。
土に近い部分や土に接する部分ほど、湿気や水の影響を受けやすいため、より厚い保護が求められていると理解すると覚えやすくなります。
試験で問われやすいポイント
- 木材は乾燥している(含水率が低い)方が強度が高く、心材は辺材より腐朽・シロアリに強いとされます。
- 鋼材は燃えませんが高温で強度が下がるため、鉄骨造には耐火被覆が必要です。
- コンクリートは引張力に弱く、鉄筋が補います。両者の熱膨張率はほぼ同じです。
- コンクリートの中性化が進むと、鉄筋がさびやすくなります。
- 免震は揺れを伝えにくくする、制震は揺れを吸収する、耐震は強さで耐えるという違いです。
- 異なる構造方法による基礎の併用は、不同沈下の原因になりやすいため、原則として禁止されています(建築基準法施行令38条2項)。
まとめ
- 木造は軽く加工しやすい反面、腐朽・シロアリ・火に注意が必要です。
- 鉄骨造は強く粘り強いが熱とさびに弱く、鉄筋コンクリート造は鉄筋とコンクリートが弱点を補い合う構造です。
- 地震対策には耐震・制震・免震の3つの考え方があり、1981年6月1日施行の新耐震基準が目安になります。
- 基礎は直接基礎(独立・布・べた)と杭基礎に分かれ、異なる構造方法の基礎の併用は原則禁止です。
建築物に関する法律上のルールは、建築基準法(防火・建築確認・単体規定)の章で学べます。
この章の内容は、税・その他の一問一答で確認できます。